転職をやめて残ると決めたら
後悔しないための「見直す日」の決め方
先に結論
残ると決めたら、残る理由と変わってほしいことをメモに書き、結果が分かる評価面談や人事異動の発表の翌週を「見直す日」にしましょう。その日に、変わってほしいことが変わっていなければ、辞めるか残るかを考え直してください。
この記事の目次
転職活動をして、面接まで進んだ。それでも最後は、今の会社に残ると決めた。退職を伝えたら上司に引き止められ、もう少し続けることにした人もいるでしょう。
決めたはずなのに、「本当にこれでよかったのか」「半年後に、また同じ不満で悩むのではないか」と、ふとしたときに考えてしまう。
残ると決めることも、転職すると決めることと同じ重さの判断です。この記事では、残ると決めた判断に「見直す日」を付ける方法と、その日に確かめることをまとめます。
転職を希望していた働く人の約9割は、次の1年で転職していない
リクルートワークス研究所の全国就業実態パネル調査では、ある年の12月の時点で転職を希望していた働く人のうち、その後の1年で実際に転職した人は11.8%でした。転職活動までしていた人に絞っても、32.6%でした※1。正社員に限らず、15〜74歳の働く人全体を集計した数字です。
転職を希望していた人のおよそ9割、転職活動まで進んだ人でもおよそ3人に2人は、その後の1年で転職していません。転職しないまま1年を過ごすことは、珍しくありません。
ただ、この数字からは、その人たちが残ると決めたのか、決めないまま1年がたったのかは分かりません。同じ「残る」でも、決めて残るのと、決めないまま時間がたつのとは別のことです。
残ったことを後悔しないか。同じ不満がまた出ないか。その不安のもとは、何がどうなれば「残ってよかった」と言えるのかが決まっていないことにあります。決まっていないと、不満を感じるたびに迷い直し、何も確かめないまま時間だけがたっていきます。
だから、残ると決めたら、残る理由と見直す日を書き残しましょう。見直す日が決まっていれば、不満を感じるたびに迷い直すことが減り、今の仕事に集中しやすくなります。
ただし、次のどちらかに当てはまるときは、見直す日を決める前に、それぞれ次のようにしてください。
- ハラスメントや給与の未払いがあるとき:見直す日を待たずに、社内外の相談窓口に相談してください。
- 転職する前提で、賞与や昇格を待っているだけのとき:それは「残る」ではなく「待つ」です。転職のタイミングは今か半年後かを確かめる方法で、待つ期間を決めてください。
残る理由と見直す日を、1枚のメモに書き残す
残ると決めたら、その日のうちに、次の4つをスマホのメモか紙1枚に書いてください。
| 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 残る理由 | 「部長から『4月の人事異動で企画部への配属を検討する』とメールで返事をもらった」のように、事実で書く |
| 変わってほしいこと | 一番困っている不満を1つだけ選び、「評価の基準が面談で示される」のように、どうなれば変わったと言えるかまで書く |
| 見直す日 | 変わったかどうかが分かる社内の予定の翌週 |
| 見直す日を待たずに考え直す条件 | 「約束してくれた部長が異動した」「約束が取り消された」 |
残る理由に「辞めると言い出せなかった」しか書けないなら、残るかどうかを考え直すために、辞めたい理由を整理し直すところから始めてください。
メモの下には、残ると決めた後に同じ不満を感じた出来事を、日付と一言で書き足していきましょう。書き足しておけば、見直す日に、不満が減ったかどうかを、記憶ではなく記録で確かめられます。
見直す日は、結果が分かる社内の予定に合わせる
見直す日は、変わったかどうかを確かめられる時期に合わせて決めましょう。変わってほしいことに応じて、下の表の社内の予定を目安にしてください。
| 変わってほしいこと | 見直す日 | 見直す日に確かめること |
|---|---|---|
| 評価・昇給 | 評価面談で結果を伝えられた日の翌週 | 評価の基準が示されたか、昇給したか |
| 上司・異動 | 人事異動の発表(内示)の翌週 | 上司が変わったか、自分の異動の希望が通ったか |
| 仕事の中身 | 期の初めに担当が決まった日の翌週 | 任せてほしい仕事を任されたか |
| 賞与の額 | 賞与の支給日の翌週 | 説明された見込みどおりに支給されたか |
| 引き止めで約束されたこと | 約束された期日の翌週 | 約束が守られたか |
予定の日付は、前回の社内の通知や賞与明細で見当をつけてください。次回の日付が発表されたら、見直す日も合わせて直しましょう。
見直す日は、残ると決めた日から半年以内に置いてください(編集部の目安)。遠すぎると、変わったかどうかを確かめないまま、1年がたってしまいます。
残ると決めた日から半年以内に、結果が分かる社内の予定がないときは、3カ月後を見直す日にしてください。その日には、変わってほしいことを上司に伝えたか、異動の希望を出したかなど、自分が動けたかを確かめてください。
結果を確かめる2回目の見直す日は、社内の予定の翌週に置き、残ると決めた日から1年以内に収めて、メモに書き足してください。予定の翌週が1年を超えるときは、1年がたつ日を見直す日にしましょう。1年以内にそうした予定がないときは、変わってほしいことは今の会社では変わりにくいと考え、3カ月後の見直す日に、その不満を受け入れて残れるかを決めましょう。
引き止められて残るときは、約束の中身と期日を確かめる
退職を伝えて引き止められたときは、上司が約束したことについて、「何が」「いつまでに」変わるのかまで聞いてください。期日を聞いても答えがない約束は、見直す日を決められないので、残る理由に入れないでください。
提案の中身と時期は、会社から書面かメールで受け取ってください。口頭だけのときは、その日のうちに自分から確認のメールを送り、返事を残しておきましょう。そのメールと返事が、見直す日に、何が約束されていたかを確かめる記録になります。
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。お話しいただいた内容を、念のため確認させてください。〇月の人事異動で、◇◇部への配属を検討していただけると理解しています。お手数ですが、この理解で間違いがないか、ご返信いただけますと幸いです。
返事がないときや、書面やメールでは出せないと言われたときは、その提案はまだ決まっていないものとして扱い、残る理由に入れないでください。
見直す日に確かめることと、その後の決め方
見直す日には、メモを開いて、次の3つを確かめてください。
- 変わってほしいことが、メモに書いた「変わったと言える状態」になったか
- 残る理由が、今も変わらずにあるか
- 同じ不満を感じた出来事が、残ると決めたころより減ったか
無料の判断シートを使うなら、残ると決めたときに一度使い、結果を画像やPDFで保存してください。見直す日にもう一度使うと、点数の変わり方を比べられます。
確かめた結果に応じて、次のように決めてください。
| 見直す日の結果 | 次の一歩 |
|---|---|
| 変わってほしいことが変わり、同じ不満を感じた出来事も減った | 残る判断を続ける。ほかに気になる不満があれば、それを「変わってほしいこと」に書き直し、次の見直す日を決める |
| 結果はまだ出ていないが、改善に向けた動きがある、または次に検討する時期が具体的に示された(「10月の異動で検討する」など) | 見直す日を1回だけ、次の社内の予定の翌週に延ばす。延ばした見直す日も、残ると決めた日から1年以内に収める(収まらなければ、1年がたつ日にする) |
| 変わらなかった。今の会社にいる限り、受け入れられない | 在職中に転職活動を始める |
| 変わらなかったが、残る理由のほうが大事だと思える | メモに「この不満は受け入れて残る」と書き足し、次の見直す日を決める |
| 残る理由がなくなっていた(約束してくれた上司が異動したなど) | 不満を整理し直し、辞めるか残るかを決め直す |
変わってほしいことが変わっても、同じ不満を感じた出来事が減っていないときは、不満はまだ解消していないと考えてください。見直す日を延ばしても、変わってほしいことが変わらなかったときも同じです。
どちらの場合も、その不満を受け入れて残れるかを考えてください。受け入れられなければ、在職中に転職活動を始めましょう。残る理由のほうが大事なら、メモに「この不満は受け入れて残る」と書き足し、次の見直す日を決めてください。
この表は、考えを整理するための編集部の目安です。
残ると決めた場面で考える(例)
同じ「残る」でも、見直す日の結果で次の一歩は分かれます。以下は、判断の違いを見せるための想定の例です。
例1:26歳・広告営業。上司と合わず、転職活動で内定を1社もらった。退職を伝えると、部長に「春の異動で企画部を検討する」と引き止められ、10月に残ると決めた。 その日のうちに部長へ確認のメールを送り、「そのとおりです」と返信をもらった。見直す日は、3月の内示の翌週にした。内示で異動は決まらず、次の時期も示されなかった。 → この人は、上司と合わない不満を受け入れられません。次の異動の時期も示されなかったので、見直す日を延ばさずに、在職中に転職活動を再開します。
例2:30歳・カスタマーサポート。残業の多さが一番の不満だった。人事から「4月に1人増やす」と聞き、12月に残ると決めた。 変わってほしいことは「月の残業が20時間を下回る」と書いた。見直す日は、4月の残業時間が分かる5月の給与明細が出た日の翌週にした。給与明細で見ると、4月の残業は15時間ほどだった。メモに書き足した、残業がつらかった日の記録も減っていた。 → この人は残る判断を続け、次に気になっていた評価への不満を「変わってほしいこと」に書き直して、次の評価面談の翌週を見直す日にします。
例3:31歳・システムエンジニア。年収が上がらないことが不満だが、在宅勤務で家族との時間が取れることを理由に、10月に残ると決めた。 変わってほしいことは「4月の昇給で、基本給が月1万円以上上がる」と書き、見直す日は、昇給額が伝えられる3月の評価面談の翌週にした。昇給は月3,000円ほどで、年収の不満は残った。それでも、この人には、家族と過ごす時間のほうが年収より大事だと思えた。 → この人はメモに「年収の不満は受け入れて残る」と書き足し、次の評価面談の翌週を見直す日にします。
次の一歩は、見直す日をカレンダーに入れること
今日のうちに、残る理由と変わってほしいことを1つずつメモに書き、見直す日をカレンダーに入れてください。社内の予定の日付がまだ発表されていなければ、前回いつごろ行われたかをもとに次回の日付を見積もり、その翌週を仮の見直す日として入れてください。正式な日付が発表されたら、見直す日も直しましょう。
見直す日を決めて残るなら、それは先延ばしではなく、あなたが選んだ判断です。
見直す日に辞めるか残るかを考え直すことになったら、辞めたい理由を5つの軸で整理する方法で、不満を整理し直してください。