AIで仕事がなくなるか不安なとき
職種より先に自分の作業を仕分ける
先に結論
職種を変えるかは、今週の作業を「AIに任せられる」「人とAIで組む」「人が要る」に仕分けてから決めましょう。総務省が15歳以上に聞いた調査では、自分の仕事がAIに代わられて職を失うと思う人は40.0%で、それより多くの人が、単純な仕事をAIに任せるようになると見ています。
この記事の目次
生成AIのニュースを見るたびに、自分の仕事が頭に浮かぶ。資料の作成、データの入力、メールの下書き。どれも、AIがこなせると言われている作業です。
「なくなる仕事」の一覧に自分の職種を見つけて、今のうちに職種を変えたほうがいいのか、迷い始めた人もいるでしょう。
この記事では、AIで仕事がどう変わると見られているかを国の調査で確かめたうえで、職種の一覧ではなく、自分の作業を1つずつ仕分ける記入表をまとめます。
AIで職を失うと思う人より、作業をAIに任せると思う人が多い
総務省は2025年度、15歳以上の個人に、仕事でAIが今後担いそうな役割や、仕事への影響を聞いています。「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を合わせると、「自分の仕事がAIに代替され、職を失う」は40.0%でした。最も多かったのは「単純・非効率的な仕事を生成AIに任せる」で、64.1%です※1。
職を失うと思う人は、5人に2人います。ただ、それより多くの人が、仕事の中の単純な作業をAIに任せるようになると見ています。
白書によると、どの項目も前の年度の調査より高くなりました。白書は、AIを使う人が広がり、仕事での役割や影響を具体的に思い描く人が増えた可能性を挙げています。なお、この調査は15〜19歳も含む15歳以上の個人に聞いたもので、会社員だけの数字ではありません。前の年度は20歳以上に聞いた調査で、比べる対象の年齢が少し違います。
「なくなる職種」の一覧で自分の職種を探すより、自分の作業のうち、どれがAIに移り、どれが人に残るかを分けるほうが、次に何をするかを決めやすくなります。
学ぶ時間が足りないなら、先に作業をAIに任せる
作業の一部がAIに移ると、人に残る仕事をするために、新しく身につけることが出てきます。ところが、働きながら学びにあてている時間は、長くありません。
厚生労働省の調査では、仕事のための学び(自己啓発)をした正社員でも、2024年度の1年間に学んだ時間は平均43.9時間でした※2。月にすると4時間に届きません。学んだ人でも、学びにあてた時間は多くないということです。
編集部は、単純な作業を先にAIに任せて時間を空け、その時間を、人に残る作業のための学びにあてる順番を勧めます。AIが出したものを確かめる時間もかかるので、空く時間は思ったより少ないこともあります。それでも、週に1時間を学びにあてれば1年で52時間になり、学んだ正社員の平均を上回ります。
職種を変えるかどうかは、自分の作業を仕分け、人に残る作業を今の職場で増やせるかを確かめてから決めましょう。
今週の作業を3つに仕分ける記入表
まず、今週した作業を、1行に1つずつ10個書き出してください。「営業資料の作成」のように大きくまとめず、「先月の売上の表を作る」「表から分かったことを3行で書く」のように、手を動かす単位に分けます。
そのうえで、1行ずつ次の順に見て、3つに仕分けましょう。
- 相手との調整、責任を負う判断、その場にいることのどれかが要る作業は「人が要る」
- それ以外で、毎回同じ手順で、正解も決まっている作業は「AIに任せられる」
- 残りは「人とAIで組む」
仕分けに迷う作業は、いったん「人とAIで組む」に入れてください。実際にAIに任せてみて、手直しがほとんど要らなければ、「AIに任せられる」に移しましょう。
| 仕分け | 当てはまる作業 | 次にすること |
|---|---|---|
| AIに任せられる | 決まった形のメールの下書き、請求書の項目の転記、決まった形の集計 | 会社が認めているAIの道具で、先に任せる。出てきたものは、使う前に一度見直す。空いた時間をメモしておく |
| 人とAIで組む | 議事録の要約、提案書のたたき台、資料の構成、データから傾向を読む | AIが出したものが正しいかを確かめるための、業務の知識や数字の読み方を学ぶ |
| 人が要る | 取引先との条件の交渉、トラブルの対応、後輩の指導 | 今の職場で、この作業の担当を増やせるかを上司に聞く |
AIに任せるときは、会社が使ってよいと認めた道具だけを使ってください。取引先の名前、顧客の情報、公表していない数字のような社外に出していない情報は、会社の許可のない道具に入れないでください。
仕分けが終わったら、次のように決めましょう。
- 「人が要る」作業がすでに多い、または今の職場で増やせる:残って、「AIに任せられる」作業から任せ、空いた時間を「人とAIで組む」作業の学びにあてる
- 「人が要る」作業が少なく、上司に聞いても増やせない:「人が要る」作業が中心の求人を探す。職種を変えなくても、同じ職種で調整や判断の多い求人が見つかることもある
この仕分けがそのまま使えない人と、残った方がいい場合
- 別の職種に移ると、もう決めている人:仕分けより、移りたい職種の求人を見て、応募資格を確かめるほうが先です
- 会社から、担当の廃止や配置の変更を伝えられた人:不安ではなく、決まった変化として扱ってください。移る時期、新しい担当、給与が変わるかを、先に会社に確かめましょう
- 会社が、仕事でAIの道具を使うことを認めていない人:まず上司に、仕事で使ってよい道具があるか、使えるようになる予定があるかを聞いてください。使える時期が決まっていれば、使えるようになるまでは仕分けだけを済ませておき、使えるようになってから、仕分けのあとの決め方に沿って決めましょう。時期が決まっていない、または予定も無ければ、仕分けのあとの決め方のうち、「AIに任せられる」作業から任せる所は飛ばし、「人が要る」作業を今の職場で増やせるかだけで、残るか、求人を探すかを決めましょう
反対に、会社がAIの研修や道具の導入を進めていて、自分も使う側に回れるなら、残った方がいい場合があります。仕事でAIを使い、作業をどう変えたかは、あとで転職するときにも、職務経歴書に書ける経験になります。
営業事務の作業を仕分けた場面で考える(例)
以下は、想定の例です。
例:28歳・営業事務。仕事は、受注の入力、見積書の作成、営業担当からの問い合わせへの返事、取引先との納期の調整。「事務はAIでなくなる」という記事を読み、別の職種に移るか迷っている。
今週の作業を10個書き出して仕分けると、「AIに任せられる」が受注の入力や決まった形のメールなど4個、「人とAIで組む」が見積書の作成など3個、「人が要る」が取引先との納期の調整など3個だった。
→ この人は、職種を変える前に、会社が認めているAIの道具に、決まった形のメールの下書きから任せます。空いた時間で、見積もりの根拠になる原価の考え方を学びます。あわせて、取引先との調整の担当を増やせるかを上司に聞き、増やせないと分かったら、取引先との調整が中心の求人を探します。
次の一歩は、今週の作業を10個書き出すこと
今週のうちに、今週した作業を10個書き出し、記入表の3つに仕分けてください。仕分けたら、「人が要る」に入った作業を今の職場で増やせるかを、上司に聞きましょう。
それでも経験のない職種に移りたいなら、30歳の転職は遅い?で、経験のない職種に移るときに年齢が不利に働く場面と、応募の前に見ておく点を読めます。
この記事にはプロモーション(広告)が含まれます。(広告について)