お問い合わせXでフォロー
転職の基本

仕事を辞めたい理由が1つだけでも甘えではない

理由の重さの確かめ方

2026年版公開 2026.09.24転職指南 編集部

先に結論

辞めたい理由が1つだけでも、甘えではありません。その1つが社内で解消できる不満か、1つでも受け入れられない重さかを確かめてから決めましょう。

無料・5分あなたの不満、社内で解決できる? 転職するなら何を確かめる?判断シートを試す →
この記事の目次
  1. 転職を考えながら働いている人は、少なくない
  2. 確かめる前に、先に相談してほしいケース
  3. 1つだけの理由は、3つのどれに近いかを見る
  4. 確かめること1:辞めたい理由は、本当に1つか
  5. 確かめること2:その不満は、社内で解消できる見込みがあるか
  6. 確かめること3:その不満は、受け入れられない重さか
  7. 3つの答えから、次の一歩を決める
  8. 3つの場面で考える(例)
  9. 次の一歩は、紙1枚に書くことから

給料にひどい不満があるわけではないし、職場の人もいい人たちだ。それでも1つだけ、どうしても引っかかることがあって、朝の電車で「このままでいいのかな」と考えてしまう。

友人や家族に話そうとしても、「それだけで辞めるの?」と返されそうで、口に出せない。理由が1つしかないのに辞めたいと思う自分を、わがままだと責めてしまう。

理由の数と、その理由の重さは、別のものです。1つしかないからといって、自分を責める必要はありません。

ただ、1つだけの理由にも、社内で解消できるものと、できないものがあります。社内で解消できる不満のまま辞めると、次の職場で「前の会社でも、あれさえ変われば続けられた」と迷いが残ることがあります。

この記事では、辞めたい理由が1つだけの人に向けて、その理由の正体を分け、辞める前に確かめたいことを順番にまとめます。

転職を考えながら働いている人は、少なくない

総務省の調査によると、2025年平均で、転職などを希望している人は1,023万人、転職した人は330万人でした(出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」2025年平均)。転職などを希望している人のほうが、実際に転職した人よりずっと多いのです。

迷いながら今の職場で働いているのは、あなただけではありません。

では、実際に転職した人は、何を理由に動き出したのでしょうか。2025年に転職した正社員に「転職活動を始めた理由」を聞いた調査では、上位5つは次のとおりでした(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績、複数回答)。

  • 1位 給与が低い:23.2%
  • 2位 仕事内容への不満:21.0%
  • 3位 職場の人間関係:20.0%
  • 4位 会社の将来性への不安:18.3%
  • 5位 昇進や昇給が見込めない:15.4%

上位5つの割合は15.4〜23.2%で、1つだけが飛び抜けてはいません。あなたの1つの理由がこの5つのどれかに当てはまるなら、それは転職した人が実際に挙げている理由の1つです。

ただし、この調査は複数回答です。理由を1つだけ挙げた人がどれくらいいたかは、この数字からは分かりません。

確かめる前に、先に相談してほしいケース

理由を書き出したり、社内に相談したりする前に、ハラスメントや労働条件の問題がないかを確かめてください。当てはまる場合は、相談を優先してください。

  • 職場でハラスメントを受けていると感じるとき:我慢しながら確かめる問題ではありません。社内外の相談窓口や専門家に相談してください。
  • 残業代が支払われないなど、労働条件が契約と違うとき:あなた個人の不満ではなく、労働条件の問題です。労働基準監督署などの公的な相談窓口に相談してください。

1つだけの理由は、3つのどれに近いかを見る

「辞めたい理由が1つだけ」と感じるとき、その中身は、たいてい次の3つのどれかに近いものです。

理由の正体 よくある感じ方 社内で変わる見込み
言葉にしにくい停滞感 成長していない、先が見えない、なんとなく疲れた 中身が分かるまで判断できない
社内で解消できる不満 昇給の条件が分からない、担当業務が合わない、在宅勤務ができない 相談や異動で変わることがある
1つでも重い理由 生活が苦しくなるほど給与が低い、体調に響くほど残業が多い 個人の相談では変わりにくい

見分けるには、「この理由が明日なくなったら、この会社で働き続けたいか」と自分に聞いてみてください。

すぐに「働き続けたい」と思えるなら、辞めたい理由は本当にその1つです。迷うなら、その1つの奥に、まだ言葉になっていない理由があると考えてください。

言葉にしにくい停滞感は、中身を分けてから判断する

1つだけの理由の中には、言葉にしにくい停滞感が隠れていることがあります。

2025年に転職した正社員の52.6%、およそ2人に1人が、前の会社で「自分のキャリアに停滞感を感じていた」と答えています(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績)。

「成長していない気がする」という理由を、ぼんやりした理由だと恥じる必要はありません。

ただ、停滞感は、そのままでは判断に使えません。「成長していない」とだけ書いても、何が変われば残れるのかが分からないからです。

停滞感を分けるときは、「1年前と比べて、できる仕事は増えたか」と自分に聞いてください。

できる仕事が増えていないなら、成長を止めているものを具体的に書き出してください。たとえば、担当が変わらない、任される範囲が広がらない、学ぶ時間が取れない、などです。

成長を止めているものが分かれば、停滞感は「成長」や「裁量」の不満に変わります。そこまで来て初めて、その不満が社内で解消できるかを確かめられます。

社内で解消できる不満なら、社内と転職の両方に道がある

1つだけの理由が、社内で解消できる不満のこともあります。給与を例に見てみましょう。

同じマイナビの調査で、給与が低いことを理由に転職した人を見ると、転職の前後で年収が平均55.9万円上がっていました(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績)。あくまで平均なので、全員の年収が上がったとは限りません。

同じ調査では、給与が理由で転職した人のうち44.3%が、「前の会社で給与や待遇が改善されていたら、辞めなかった」と答えています(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績)。

辞めたい理由が給与1つなら、辞める前に、今の会社で給与が上がる条件を一度聞いてください。転職で上げる道と、社内で上げる道を、並べて比べられるようになります。

1つでも重い理由は、数が少なくても軽くならない

はっきり言葉にできる理由の中にも、1つで十分に重いものがあります。生活が苦しくなるほど給与が低い、残業が続いて休日も体が休まらない、といった理由です。

1つでも受け入れられない理由があり、社内で良くなる見込みがないなら、その1つだけでも、在職中に転職活動を始めましょう。

ここからは、辞める前に確かめたい次の3つを、順番に見ていきます。

  • 辞めたい理由は、本当に1つか
  • その不満は、社内で解消できる見込みがあるか
  • その不満は、受け入れられない重さか

確かめること1:辞めたい理由は、本当に1つか

最初に、辞めたい理由が本当に1つなのかを確かめましょう。紙1枚とペンを用意してください。

まず、最近「辞めたい」と思った場面を3つ書き出してください。「仕事がつまらない」で止めずに、「今月も先月と同じ集計作業だけで1日が終わった」のように、その場で起きた出来事を書いてください。

次に、それぞれの場面で何が不満だったかを、1語で書き添えてください。1語は、年収・通勤・裁量・上司・成長の5つから選んでください。

  • 同期より給料が低いと知った場面なら、「年収」
  • 片道1時間半の通勤で、平日の夜に何もできなかった場面なら、「通勤」
  • 会議で出した案を理由なく却下された場面なら、「裁量」か「上司」
  • 1年前と同じ作業をしていると気づいた場面なら、「成長」

残業や休日出勤は、通勤とは別に「労働時間」としてメモしてください。通勤は移動の負担、労働時間は業務量や人の配置の問題です。社内で良くなるかは、それぞれ別に確かめてください。

会社の将来性のように、5つの語にも労働時間にも入らない理由は、そのまま書いておきましょう。会社の将来性は個人の相談では動かしにくいので、社内で解消できる見込みは低いと考えてください。

最後に、書き添えた1語の種類を数えてください。場面が3つあっても、すべて「上司」なら、辞めたい理由は1つです。場面が2つでも「年収」と「成長」に分かれるなら、辞めたい理由は2つです。

数えるときは、2つに見える理由が、同じ原因から出ていないかも見てください。「裁量がない」と「成長しない」が、どちらも上司の任せ方から来ているなら、原因は上司1つです。上司が変われば、裁量と成長も一緒に変わるかもしれません。

「給料が低い」と「評価の基準が分からない」も、同じ原因から出ていることがあります。評価の基準が分からない原因がどこにあるかで、数え方を分けてください。

  • 評価する人(上司)の問題:上司が評価の理由を説明しない、人によって評価が変わる。上司が変われば給料も動くかもしれないので、「上司」1つとして数える。
  • 会社の制度の問題:評価の基準が社員に示されていない、誰でも昇給しにくい仕組みになっている。上司が変わっても残るので、「年収」1つとして数える。

評価とは関係なく給与の水準そのものが低く、そのうえ上司とも合わないときだけ、「年収」と「上司」の2つと数えてください。

書き出してみて辞めたい理由が2つ以上に分かれた人は、辞めたい理由を5つの軸で整理する方法で、軸ごとに社内で良くなる見込みを確かめてください。

確かめること2:その不満は、社内で解消できる見込みがあるか

辞めたい理由が1つに決まったら、その不満が社内で解消できる見込みを確かめましょう。「どうせ変わらない」と思っていても、その不満を解消できる立場の人に、一度は聞いてみてください。印象ではなく、返ってきた答えで判断できるようになります。

辞めたい理由 聞く相手 聞くこと 解消できる見込みがあるサイン
年収 上司、人事 次に昇給するための条件 条件と時期を具体的に答えてもらえる
通勤 上司、人事 在宅勤務や時差出勤を使えるか 制度があり、実際に使っている人がいる
労働時間 上司、人事 業務量を減らすか、人を増やす予定があるか 担当の見直しや人の補充の時期が決まる
裁量 上司 任せてもらえる範囲を1つ広げられるか 広げる範囲と時期を一緒に決められる
上司 人事、上司の上の人 異動の希望を出せる時期 半年以内に希望を出せる
成長 上司 新しい担当や研修に手を挙げられるか 次の期に担当を変える話が出る

辞めたい理由が1つだけであることは、社内で相談するときには強みになります。直してほしい点がはっきりしているので、聞かれた相手も、何をすればよいかを考えやすいからです。

聞くときは、「辞めたい」ではなく「続けたい」を前に置いてください。たとえば、次のように聞いてみてください。

  • 年収が理由なら:「今の仕事は続けたいと思っています。次の評価で給与を上げるには、何が足りないか教えてください」
  • 成長が理由なら:「この会社で経験を広げたいと思っています。次の期に、新しい担当に手を挙げることはできますか」

あわせて、次の3つを守ると、返ってきた答えを判断に使いやすくなります。

  • 期限を先に決める:「次の評価面談まで」のように、日付で区切る。期限のない様子見は、判断を先に延ばすだけです。
  • 直してほしい点を1つだけ伝える:「ここが変われば、この会社で続けたい」と伝える。
  • 返ってきた答えを記録する:相談した日と、相手の答えをメモに残す。

相手の答えに応じて、次のように判断してください。

  • 条件や時期を具体的に答えてもらえた:その不満は、社内で解消できる見込みがあります。決めた期限まで、その条件に取り組みましょう。
  • 答えが曖昧だった:一度だけ、「いつまでに、何が変わりそうか」を聞き直してください。
  • 答えがない、はぐらかされた:その不満は、今の会社では解消しにくいと考えてください。

相談の記録は、転職の面接で退職理由を聞かれたときにも使えます。「昇給の条件を聞いたが、答えがなかった」と話せば、何を確かめたうえで辞めると決めたのかが伝わります。

辞めたい理由が上司との関係なら、「上司が合わない」で辞める前に確かめることに、評価の理由の聞き方と、異動の見込みの確かめ方をまとめています。

確かめること3:その不満は、受け入れられない重さか

辞めたい理由が社内で解消しにくいと分かったら、最後に、その理由の重さを確かめてください。社内で解消しない不満でも、今は受け入れられるものなら、残るという選び方もできるからです。

次の5つは、理由の重さを確かめるために編集部が用意した問い(目安)です。「1年以上」「半年後」といった期間の区切りも、調査の数字ではなく編集部の目安です。あなたの辞めたい理由に当てはまるものに印を付けてください。

  • その理由のせいで、生活費や貯金に困っている
  • その理由のせいで、睡眠や休日の時間が削られている
  • その理由のせいで、1年後に身につけたい経験が得られない
  • その理由が、1年以上変わらずに続いている
  • 次の職場を選ぶとき、その理由が解消されることを一番の条件にしたい

当てはまる項目が多いほど、その理由は重いと考え、受け入れられるかどうかを決める手がかりにしてください。ただし、当てはまる項目が1つだけでも、どの項目にも当てはまらなくても、自分で受け入れられないと感じるなら、受け入れられない重さとして扱ってください。

反対に、当てはまる項目を見たうえで、自分で今は受け入れられると思えるなら、今は残りましょう。半年後にもう一度、この5つの問いで確かめてください。

残るなら、その理由を「今は受け入れる」と自分で決めてから残りましょう。決めないまま残ると、同じ迷いを半年ごとにくり返すからです。

3つの答えから、次の一歩を決める

辞めたい理由の数 社内で解消できる見込み 理由の重さ 次の一歩
2つ以上 ― ― 5つの軸に分けて、社内で良くなる見込みを整理し直す
1つ ある ― 期限を決めて、社内で解消できないか試す
1つ ない 受け入れられない 在職中に転職活動を始める
1つ ない 受け入れられる 残って、半年後にもう一度確かめる

この表は、考えを整理するための目安です。

社内で解消できる見込みがあった人も、決めた期限までに解消しなければ、「見込みがない」に移して、理由の重さを確かめてください。

転職活動を始めることになっても、先に辞める必要はありません。2025年に転職した正社員の74.3%、およそ4人に3人は、前の会社に在籍したまま転職しています(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績)。

在籍したまま動けば、収入を保ちながら、次の職場を落ち着いて選べます。

辞めたい理由が1つだけの人は、次の職場に求める条件もはっきりしています。求人を見るときは、その1つが解消される職場かどうかを、最初に確かめてください。

3つの場面で考える(例)

同じ「辞めたい理由が1つだけ」でも、答えは人によって分かれます。以下は、判断の違いを見せるための想定の例です。

例1:26歳・経理。辞めたい理由は「給与が上がらない」の1つだけ。 仕事内容にも職場の人にも満足している。人事に昇給の条件を聞くと、「簿記2級を取れば資格手当が付き、次の評価で等級を上げられる」と具体的な答えが返ってきた。 → 社内で解消できる見込みがあります。この人は次の評価面談を期限にして、資格の勉強を始めます。資格を取っても期限までに等級が上がらなければ、解消できる見込みはないと考え、理由の重さを確かめ直します。

例2:29歳・システムエンジニア。辞めたい理由は「成長していない気がする」。 場面を書き出すと、「3年間、同じシステムの保守だけ」「新しい技術を使う案件に入れない」が並び、辞めたい理由は「成長」1つにまとまった。上司に新しい案件への参加を申し出たが、「今の体制では外せない」と言われ、来期も担当は変わらない。 → 停滞感の正体は、担当が変わらないことでした。社内で解消できる見込みがなく、1年後に身につけたい経験も得られません。この人は在職したまま転職活動を始めます。

例3:31歳・営業。辞めたい理由は「なんとなく疲れた」。 「この理由が明日なくなったら」と考えても、何がなくなればいいのかが浮かばない。場面を書き出すと、「月末に上司から数字を詰められる」「片道1時間半の通勤」「同じ提案をくり返すだけで、できることが増えない」の3つに分かれた。 → 辞めたい理由は1つではなく、上司・通勤・成長の3つでした。この人は5つの軸で整理する方法で、軸ごとに社内で良くなる見込みを確かめます。

次の一歩は、紙1枚に書くことから

全部を一度にやる必要はありません。次の一歩は1つだけです。

今週、紙の一番上に辞めたい理由を書き、その下に、その理由で困った最近の出来事を1つ書いてください。ここまでで十分です。

書いた出来事は、辞めたい理由が本当に1つかを確かめるときの、最初の場面になります。

その1つをきちんと確かめて出した答えなら、残るにしても動くにしても、あなたが自分で選んだ答えです。

辞めたいけど決められない辞めたいのは甘えか

この記事の図解

参考にした統計・資料

  • 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」2025年平均
  • マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績

数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針