源泉徴収票は転職先にいつ出す?内定前に求められたときの確かめ方
先に結論
所得税法では、前の会社は年の途中で辞めた人に、退職の日から1か月以内に源泉徴収票を渡す決まりです。転職先に出すのは、編集部の読みでは、前の会社を辞めた年と入社した年が同じ場合の入社後です。
この記事の目次
最終面接のあとに、人事から「直近の源泉徴収票を、写しでよいのでお送りください」とメールが届いた。まだ内定をもらっていないのに、前の会社の書類まで出すのか。
そもそも、いつ出すものなのか。出さないと選考で不利になるのか。早く返事をしたいけれど、聞き返してよいのかも分からない。
この記事では、源泉徴収票を転職先に出す時期と、内定の前に求められたときに確かめることをまとめます。
転職先に出すのは入社後で、辞めた年と入社した年が同じ場合が基本
転職先が源泉徴収票を集める本来の目的は、年末調整です。年の途中で入社して年末まで勤めた人は、年末調整の対象になります※1。同じ年に前の会社からも給与を受けていたら、その分を合わせて計算します。前の会社の給与額は、前の会社が出した源泉徴収票で確かめます※2。
年末調整は、扶養控除等申告書を出した人に対して、その年最後の給与を払うときに行うと決められています※3。申告書を出すのは、給与をもらう立場になった入社のあとです。つまり、税の手続きとしては、源泉徴収票は入社したあとに必要になる書類です。
前の会社が渡す期限も決まっています。年の途中で辞めた人には、退職の日から1か月以内に源泉徴収票を渡さなければなりません。年末まで勤めた人には、翌年の1月31日までです※4。
前の会社を辞めた年と入社した年で、転職先に出すかどうかが決まります。
| 前の会社を辞めた年 | 転職先に入社した年 | 転職先に出す? |
|---|---|---|
| 同じ年(例:2026年に辞めて2026年に入社) | 同じ年 | 出す。一般的には、入社のとき、または11月中旬〜12月上旬に出すよう求められる |
| 2026年に辞める | 2027年に入社 | 前の会社の2026年分は、2027年の年末調整に入らないので、転職先に出さないことが多い。自分で保管する。12月の給与を受ける前に辞めた人は、年内に次の会社へ入社しない人と同じく、還付申告で取り戻せる場合がある(国税庁 No.1910) |
| 年内に次の会社へ入社しない(12月の給与を受ける前に辞めた) | なし | 前の会社の年末調整は受けられない。源泉徴収票は自分で保管し、納めすぎの所得税は確定申告(還付申告)で取り戻せる場合がある(国税庁 No.1910)。申告が要るかは税務署で確かめる |
| 年内に次の会社へ入社しない(12月の給与を受けてから辞めた) | なし | 前の会社が年末調整をする対象(国税庁 No.2665)。転職先には出さない |
2026年に辞めて2027年に入社する人が、前の会社の源泉徴収票を転職先に出さないことが多い、という所は、年末調整がその年に支払う給与だけを対象にする(所得税法第190条)ことからの、編集部の読みです。会社によって扱いが違うこともあるので、転職先の担当に確かめてください。同じ年にさらに別の会社にも勤めた人は、その会社の分も要ります。
在職中の選考で、今年分の源泉徴収票はまだ手元にない
選考中に求められる場面では、時期の問題が出ます。
今も勤めている会社が、今年分の源泉徴収票を渡すのは、法律上は翌年の1月31日までです(上の第226条第1項)。2026年12月に選考を受けている在職中の人の手元にあるのは、2025年分(2026年の初めに受け取ったもの)だけです。
在職中の人が今年分を求められても、出せない時期があります。求められた書類が何年分なのか、先に確かめましょう。
もう1点、内定の前の段階では、年末調整に使うという理由は成り立ちません。入社前の人は、まだ扶養控除等申告書を出せないからです。内定の前に求められるときは、給与を決める参考に、今の年収を確かめたい場合が考えられます。理由は会社によって違うので、聞いて確かめるのが確実です。
内定の前に求められたら、出す前に3つ聞く
職業安定法には、求人を出す会社が、応募者の個人情報を集める決まりがあります。集めるときは、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにしなければなりません。ただし、本人の同意があるときなどは除かれます※5。
つまり、応募者は会社に使い道を聞いてかまいません。出したあとでは確かめにくいので、出す前に次の3つを聞いてください。
- 何のために必要か。年収の確認なのか、入社後の手続きの準備なのか
- 何年分が必要か。在職中なら、手元にあるのは前年分までと伝える
- 内定の前に必要なのか、内定の後や入社の手続きのときでもよいのか
答えに応じて、次のように動きましょう。
- 年収の確認が目的なら、写しのほかに、直近の給与明細や、支払金額を書いた回答でよいかを聞く
- 入社後の手続きが目的なら、内定の後や入社の手続きのときに出すと伝える
- 内定の前に必要と言われたら、写しで足りるか、使い道が選考だけか、使ったあとの扱いを確かめて出す
写しには、前の会社の名前や所在地、支払金額などの個人の情報が載っています。会社が目的を説明して、納得できたなら、出して構いません。出し渋って選考の印象を悪くする必要はありません。聞くのは、あくまで確かめるためです。
メールで聞くなら、次の形が使えます。
源泉徴収票のご依頼をありがとうございます。準備のため、使い道と、何年分が必要かを教えてください。現在在職中のため、お渡しできるのは2025年分です。
今の年収の伝え方は、転職の年収交渉で確かめられます。
当てはまらない人
次の場合は、ここまでの話と違います。
- 同じ年に前の会社を辞めて、次の会社に入社した人は、年末調整のために出します。社内の締め切りが決まっているので、入社のときに担当へ確かめてください。
- 前の会社が出してくれない人は、会社の担当に先に相談してください。
- 税の個別の判断は、税務署や転職先の担当に確かめてください。
想定の例と、次の一歩は手元の源泉徴収票が何年分かを確かめること
以下は、想定の例です。
例:33歳・営業。在職のまま転職活動を進め、2026年12月に最終面接を受けた。2027年1月に入社する希望。人事から「直近の源泉徴収票の写し」を求められた。
→ この人は、手元にあるのが2025年分であることを伝え、使い道と、内定の前に必要かを聞きます。年収の確認が目的だと分かったら、2025年分の写しと直近の給与明細のどちらがよいかを選んで出します。
→ 2026年12月31日に退職して2027年に入社するなら、前の会社の2026年分は転職先に出さないことが多いので、前の会社から2027年1月31日までに届く源泉徴収票は、自分で保管します。転職先の担当には、入社のときに確かめます。
今週のうちに、手元の源泉徴収票を出して、何年分かを見てください。求められる前に、出せる書類が何かが分かります。
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