ふるさと納税は転職した年いくらまで?上限の検算とワンストップの注意
先に結論
総務省の計算式では、特例分の控除が住民税の所得割額の2割を超えない範囲の寄附なら、自己負担は最低額で済みます。収入が変わる転職の年は、今年届いた住民税の決定通知書(前の年の収入の分)の所得割額をもとに、今年の収入が減るなら、所得割額は収入の減り方より大きく減る前提で上限を少なめに見積もり、前職の源泉徴収票を転職先に出して年末調整を受けましょう。
この記事の目次
去年と同じ額をふるさと納税に寄附しようと思ったところで、手が止まる。今年は転職で収入の入り方が変わった。上限はいくらなのか、寄附のあとの手続きはいつもどおりでいいのか、前の会社の書類はどこへ出せばいいのか。
この記事では、転職した年の上限を、今年(2026年)6月ごろに届いた住民税の決定通知書(2025年の収入の分)から検算する方法と、ワンストップ特例が使えるかどうかの分かれ目をまとめます。寄附は2026年12月31日までに済ませる必要があるので、12月のうちに数えられる形にしました。
上限は「その年の収入」で決まり、手続きは「年末調整の有無」で決まる
ふるさと納税の上限には、2つの決まりがあります。
1つ目は、住民税の控除の特例分が、住民税の所得割額の2割までと決まっていることです。この2割を超えると、控除の合計が(寄附額−2,000円)に届かず、自己負担は2,000円を超えます※1。
2つ目は、寄附の控除が、寄附した翌年度の住民税から引かれることです。ワンストップ特例を使うと、所得税の分も含めた控除の全額が、翌年6月以降の住民税から引かれます※2。
ここで効くのが、上限の計算に使う所得割額は、寄附した年の収入から決まる(寄附した翌年度の住民税の額)という点です。転職の年は、前職と現職の給与が合わさり、間が空けばその月の給与が無くなります。去年の感覚の額を寄附すると、上限を超えやすい年です。
手続きの側にも、転職の年だけの分かれ目があります。ワンストップ特例は、確定申告が不要な給与所得者が、寄附先5団体以内で使える制度です。国税庁は、給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超える人に、確定申告を求めています※3。前職の給与が年末調整に入らず、その給与などが20万円を超えるなどで確定申告が必要になったときも、税を取り戻す還付申告をするときも、確定申告をするとワンストップ特例は使えなくなります。
上限は、今年6月ごろの通知書の所得割額から検算できる
総務省が示す計算の仕方を、寄附額Xについて解くと、次の式になります。この式は、自治体の説明に載っているものです※4。
上限額=住民税の所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円
所得税率が5%の人(課税される所得が195万円未満)は「所得割額×0.23558+2,000円」、10%の人(195万円以上330万円未満)は「所得割額×0.25065+2,000円」になります※5。
所得割額は、毎年6月ごろに届く住民税の通知書(会社員は会社経由の特別徴収税額の通知書)に、市民税と県民税を合わせた額で載っています。今年届いた通知書の額は、2025年の収入から決まった額で、今年の収入の額ではありません。通知書の書き方は自治体で違うので、「所得割額」の欄が分からないときは、市区町村の税の窓口に聞いてください。
この式から、転職の年に気づけることがあります。上限から2,000円を引いた額は、所得割額に比例します。基礎控除などは収入が減っても変わらないので、収入が4分の3になると、所得割額は4分の3より大きく減ることが多いのです。今年6月ごろの通知書の額を、収入の比で単純に減らさずに見てください。
下の表は、所得税率5%の人の、所得割額と上限の目安です(編集部の計算)。今年6月の通知書の所得割額が18万円だった人の今年の所得割額が、通知書と同じ・4分の3・半分になった場合を並べました。
| 今年の所得割額 | 上限の目安 |
|---|---|
| 18万円(通知書と同じ) | 約44,000円 |
| 13.5万円 | 約34,000円 |
| 9万円 | 約23,000円 |
所得割額が半分になれば、上限はおよそ半分です。今年の所得割額は、年内の給与の合計が固まらないと分かりません。12月支給の給与や賞与の額が決まるまでは、少なめの見込みで考えてください。
転職のしかた別に、使える手続きを決める
前職の源泉徴収票を転職先に出せるかどうかで、手続きが分かれます。年末調整を受ける会社は、年の途中で就職し、年末まで勤める人が対象です※6。
| 場面 | 年末調整 | ふるさと納税の手続き |
|---|---|---|
| 年内に転職し、前職の源泉徴収票を転職先に出す | 転職先で前職の分と合わせて受ける | ほかに申告の理由が無ければ、ワンストップ特例を使える |
| 年内に転職したが、前職の源泉徴収票を出さない・間に合わない | 前職の分は受けられない | 確定申告をする場合(前職の給与が20万円を超えて申告が必要なときも、税を取り戻す還付申告をするときも)は、ワンストップ特例を使えず、申告に寄附を書く |
| 12月に支払われる給与を受けたあとに退職し、年内は無職 | 退職した会社が年末調整をする | ほかに申告の理由が無ければ、ワンストップ特例を使える |
| 12月の給与を受ける前に退職し、年内は無職 | 受けられない | 給与が1か所だけで申告の義務が無い人は、ワンストップ特例を使える。ただし、源泉された所得税を取り戻すために確定申告(還付申告)をするなら特例は無効になるので、申告書に寄附を書く |
12月に支払われる給与を受けたあとに退職した人が年末調整の対象になる、という扱いは、国税庁の同じページに書かれています。ただし、会社が実際にどう処理するかは、会社の経理や総務に確かめてください。
前職の源泉徴収票は、退職後しばらくして届くことが多い書類です。転職先が決めた提出日までに届きそうにないときは、前職の人事に発行を頼んでください。年末調整の出し方の細かい点は、転職先の担当に聞きましょう。
ワンストップ特例の申請書は、多くの自治体が、寄附の翌年1月10日までに届くよう求めています(各自治体の案内による)。2026年の寄附なら、2027年1月10日です。この日は日曜日なので、郵送なら早めに出してください(遅くとも8日の金曜日に着くように)。受け付けの扱いは自治体で違うので、寄附先の案内で確かめてください。
寄附のあと、翌年1月1日までに引っ越して、申請書の住所と変わった人は、変更届出書を出します。申請の日から1月1日までに申請書の住所が変わったときは、翌年1月10日までに、寄附先の自治体へ届け出る決まりです※7。期限の日は、申請書と同じです。
退職金を受け取った人は、退職金の税は給与と分けて計算されるため、上限の目安にどう入れるかを市区町村に確かめてください。
当てはまらない人・寄附を急がなくていい人
次の人は、この記事の式を使う前に、別の確認が先です。
- 年内の給与が少なく、所得割額がほとんど出ない人(配偶者の扶養に入る人を含む)。控除する税金が小さいので、寄附のほとんどが自己負担になります。
- 住宅ローン控除の1年目や医療費控除の申告がある人。確定申告をするので、ワンストップ特例は使えません。申告書に寄附を書きます。
- 年の途中でまだ給与が決まらない人。12月支給の額が分かる前に寄附の額を決めるより、確定してから残りの枠を使うほうが、上限を超えるリスクが小さくなります。
寄附を見送っても、失うのは今年の分の返礼品と控除だけです。上限が分からないまま寄附して自己負担が増えるより、少なめに寄附して来年に回すほうが、お金の面では安全です。
想定の例と、次の一歩は今年6月の通知書の所得割額を探すこと
以下は、想定の例です。
例:32歳・会社員。今年(2026年)6月に届いた通知書(2025年の収入の分)の所得割額は18万円(所得税率5%)。今年の7月末に退職し、9月1日に転職した。7月末までの前職の給与と9月以降の現職の給与の合計は、8月の1か月が無給で、転職で月給も下がったため、去年より2割弱少ない見込み。収入の減り方より所得割額は大きく減るので、今年の所得割額は13.5万円(通知書の4分の3)ほどと見込んでいる。去年は44,000円を寄附していた。
→ この人は、今年の所得割額の見込み13.5万円で上限を数え、約34,000円までにします。去年と同じ44,000円を寄附すると、約10,000円は上限を超えます。あわせて、前職の源泉徴収票を転職先の担当に出し、年末調整に前職の分を入れてもらいます。出せなければ、寄附は確定申告に書く前提で、受領証明書を残します。
今週のうちに、今年6月ごろに届いた住民税の決定通知書(2025年の収入の分)を探し、所得割額を書き出してください。次に、今年の給与の合計の見込みから所得割額を少なめに置き、上の式で上限を出しましょう。前職の源泉徴収票が手元に無ければ、転職先の提出日を確かめたうえで、前職の人事に発行を頼んでください。
税の扱いは、年収や家族、ほかの控除で変わります。個別の判断は、税務署、市区町村の税の窓口、転職先の経理に確かめてください。
退職して住民税の払い方が変わる人は、退職後の健康保険・年金・住民税で、次の会社までの手続きと払うお金を確かめられます。
出典・注記(7件)
※1 総務省「ふるさと納税のしくみ 税金の控除について」 ↩
※2 同上、総務省「ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)」 ↩
※3 国税庁 タックスアンサー No.1900 ↩
※4 八潮市「『ふるさと納税』制度による個人住民税の寄附金控除」。計算の根拠は総務省の特例分「所得割額の2割」 ↩
※5 八潮市の同じページ。所得税の税率の区分は国税庁 タックスアンサー No.2260 ↩
※6 国税庁 タックスアンサー No.2665 ↩
※7 地方税法附則第7条第4項。総務省「ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)」 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針