12月に退職するか年明けか
ボーナス・保険料・住民税の差で決める
先に結論
厚生労働省の調査では2025年の年末賞与を出した事業所が76.5%(事業所規模5人以上)と多いので、賞与が出る会社なら、賞与の支給日を過ぎてから辞めるのが基本です。年末調整を受けられなくても、年内に次の会社に入らなければ、翌年の還付申告で納めすぎの所得税を取り戻せる場合があります。
この記事の目次
年の瀬が近づくと、「このまま年を越して、同じ会社で働くのか」と考える人が増えます。12月のうちに辞めてしまいたい気持ちと、年明けまで待ったほうが損をしないのではという不安が、同時に出てきます。
次の仕事は、まだ決まっていない。冬の賞与は出るのか、年末の税金の手続きはどうなるのか、保険料や住民税はいくらかかるのか。調べるほど情報が散らばって、辞める日が決められない。
この記事では、次の仕事が決まっていない人が、12月に辞めるか年明けまで待つかを、冬の賞与・年末調整・会社の社会保険・住民税の4つの差で比べる方法をまとめます。
差がいちばん大きいのは冬の賞与で、年末調整は決め手にならない
厚生労働省の調査では、2025年の年末賞与を出した事業所は、事業所規模5人以上で76.5%、30人以上で92.8%でした。賞与を出した事業所の労働者1人あたりの平均は424,889円で、毎月決まって支給する給与の1.08カ月分です※1。
月給25万円の人(仮の数字)なら、1.08カ月分は約27万円です。2026年度の国民年金保険料は1カ月17,920円なので※2、27万円は国民年金の約15カ月分にあたります(編集部の計算)。賞与が出る会社で、支給日に在籍していることが条件なら、保険料の差を理由に支給日より前に辞めると割に合いません。
一方で、年末調整のために辞める日を遅らせる必要は、あまりありません。12月に支払われる給与を受け取ったあとに辞めれば、前の会社で年末調整を受けられます※3。受けられなくても、年内に再就職しなければ、翌年の1月1日から5年のあいだに確定申告(還付申告)をして、納めすぎた所得税を取り戻せる場合があります※4。手間は増えますが、お金の差にはなりにくいということです。
つまり、まず確かめるのは賞与です。支給日と支給の条件は、就業規則や賃金規程の賞与の項目に書かれています。
会社の保険と住民税は、退職日の月と日で払い方が変わる
会社の健康保険・厚生年金:退職日の翌日が、会社の保険の資格を失う日です。保険料は、資格を失う日が属する月の前月分までかかります。月末に辞めると、資格を失う日が翌月1日になるので、その月の分まで会社で納めます※5。
つまり、12月18日に辞めた人は12月分から、12月31日に辞めた人は1月分から、国民年金と国民健康保険を自分で納めます。この差が、国民年金だけで17,920円です。国民健康保険の保険料は市区町村で違うので、住んでいる市区町村で確かめてください。会社の健康保険を続ける任意継続は、退職日までに2か月以上続けて加入していた人が、退職の翌日から20日以内(郵送は必着)に申し出ます。12月に辞めると年末年始をはさむので、早めに動いてください※6。退職後の手続きは、退職後の健康保険・年金・住民税で確かめられます。
住民税:6月1日から12月31日のあいだに辞めると、残りの住民税は、本人が申し出なければ納付書で自分が納めます(申し出れば一括で引かれます)。1月1日から4月30日のあいだに辞めると、5月分までの残りを、最後の給与や退職手当から一括で引かれます。どちらの場合も、一括で引けるのは、5月31日までに支払われる給与や退職手当が、残りの額を超えるときだけです。足りないときは、残りを納付書で自分が納めます※7。
変わるのは払い方と時期で、払う額そのものではありません。住民税の年額が24万円(月割2万円、仮の数字)の人なら、12月の給与から12月分が引かれたあとに12月に辞めると、1月から5月分の10万円を納付書で払います。1月に辞めると2月から5月分の8万円を最後の給与などから引かれ、辞めた直後の手取りが少なくなります(編集部の計算。納期は市区町村で違います)。
退職日ごとの違いを、1枚の表にまとめます。
| 退職日 | 今年の年末調整 | 会社の保険に入っている最後の月 | 住民税の残り |
|---|---|---|---|
| 12月の給与日より前(例:12月18日) | 前の会社では受けられない。翌年に還付申告 | 11月分まで。12月分から自分で納める | 納付書で払う(12月分は、辞めたあとの12月の給与日に払われる最後の給与から引かれることが多い。申し出れば一括も可) |
| 12月の給与日から12月30日まで | 前の会社で受けられる | 11月分まで。12月分から自分で納める | 納付書で払う(申し出れば一括も可) |
| 12月31日 | 前の会社で受けられる | 12月分まで。1月分から自分で納める | 納付書で払う(申し出れば一括も可) |
| 1月1日から30日まで | 前の会社で受けられる | 12月分まで。1月分から自分で納める | 最後の給与などから一括で引かれる |
| 1月31日 | 前の会社で受けられる | 1月分まで。2月分から自分で納める | 最後の給与などから一括で引かれる |
この表は、賞与の支給日を過ぎてから辞める前提で読んでください。表の「一括」は、どれも、5月31日までに支払われる給与や退職手当が残りの額を超えるときだけです。超えないときは、残りを納付書で納めます。年末調整や保険料の取り扱いは、会社の事情や市区町村で違うことがあるので、個別の判断は会社の給与担当、年金事務所、税務署に確かめてください。
辞める日は、次の順で決めましょう。
- 賞与の支給日を確かめる。在籍が条件なら、辞める日は支給日より後にする。退職を申し出た人の賞与を減らす定めがあれば、申し出も支給日より後にする
- 12月の給与日を確かめる。年末調整を前の会社で受けたいなら、給与日より後にする
- 月末に置けるか考える。12月31日と1月30日は会社の保険が同じで、1月31日にすると、さらに1カ月分が会社の保険になる
表どおりにならない人・先に確かめたい人
- 年内に次の会社に入る人:新しい会社が、前の会社の給与も含めて年末調整をします。前の会社から源泉徴収票をもらい、新しい会社に出してください。この記事の表のうち、年末調整の列は当てはまりません
- 冬の賞与が出ない人、支給の条件が在籍ではない人:賞与の差は関係ありません。退職日ごとの違いの表のうち、保険と住民税の列だけで、辞める日を決めてください
- 賞与の支給日が1月以降の人:支給日まで在籍すると1月以降の退職になるので、住民税の残りが一括で引かれる側に入ります
- 12月31日に辞めたい人:民法では、期間を定めない雇用は、いつでも解約を申し入れられ、申し入れの日から2週間で終わります※8。2026年は、12月31日に終えるなら、おおむね12月17日までに伝える計算です。ただし、就業規則が「1カ月前まで」と決めていれば、会社の決まりには間に合いません。引き継ぎや有給休暇の消化もあるので、会社と日付を話し合ってください
ハラスメントや給料の未払いがあるときは、辞める日を考えるより先に、労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどに相談してください。
次の仕事が決まっていない人の場面で考える(例)
以下は想定の例です。
例:32歳・事務。次の仕事は未定。12月7日(月)に退職を申し出る。冬の賞与の支給日は12月10日(木)、給与日は毎月25日。就業規則には、賞与は支給日に在籍する人に出すこと、退職は1カ月前までに申し出ることが書かれていて、退職を申し出た人の賞与を減らす定めは無い。有給休暇は12日残っていて、月給は25万円(仮の数字)。
→ この人は、就業規則どおりなら、退職日は早くて1月7日です。12月31日にしたい場合は、会社に相談する必要があります。
退職日を1月7日にしても、12月10日の賞与と12月25日の給与は受け取れ、年末調整も前の会社で受けられます。会社の保険は12月分までで、国民年金は1月分から17,920円を自分で納めます。12月31日に辞めても、保険は同じです。
有給休暇の12日は、会社の年末年始の休み(この例では12月29日〜1月3日)を除いた出勤日として12月17日から1月7日まで使うと、最終出社日は12月16日(水)になります。1月に辞めるので、住民税は2月から5月分を最後の給与などから引かれます。最後の給与が日割りで少ない月なら、引ききれずに納付書になることもあるため、この人は、人事に確かめます。
次の一歩は、賞与の支給日と退職の申し出の期限を確かめること
今週のうちに、賃金規程の賞与の項目と、退職の申し出の期限を確かめてください。そのうえで、退職日ごとの違いの表のどの行に退職日を置くかを決め、申し出る日から逆算しましょう。
出典・注記(8件)
※1 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年2月分結果速報及び令和7年年末賞与の結果」2025年年末賞与 表2 ↩
※2 日本年金機構「国民年金保険料」 ↩
※3 国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」 ↩
※4 国税庁 タックスアンサー No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」 ↩
※5 日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」 ↩
※6 全国健康保険協会「任意継続の加入条件について」 ↩
※7 地方税法第321条の5第2項・第321条の7、東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」 ↩
※8 民法第627条第1項 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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