ホワイト企業の見分け方
応募前に離職率と残業を国のデータで調べる
先に結論
ホワイト企業かどうかは、応募の前に、国の職場情報サイト「しょくばらぼ」で、会社が載っていれば新卒の離職者数・平均勤続年数・月の残業時間・有給の取得日数を調べ、勤続・残業・有給は国の調査の平均と並べて確かめましょう。残業は、厚生労働省の毎月勤労統計調査(令和7年分結果確報)で一般労働者が月13.2時間なので、これより大きく多い会社では、配属先の残業を面接で聞いてください。
この記事の目次
求人票には「アットホームな職場」「風通しのよい社風」と書いてあるのに、実際に何時間残業があって、どれくらいの人が辞めているのかは書いてありません。入ってから「聞いていた話と違う」となるのは避けたい、と思うのは自然なことです。
「ホワイト企業」には、法律で決まった定義がありません。だからこそ、自分が困る点(残業・休み・人の入れ替わり)を数字で調べて、国の平均と並べて見るのが確かな方法です。
この記事では、応募の前に調べられる国の職場情報と、その数字を国の平均と並べて読む方法をまとめます。
職場情報には、法律で決まった項目がある
「青少年の雇用の促進等に関する法律」の第13条では、会社が、学校を卒業する見込みの人や卒業した人であることを条件にして労働者を募集するとき、その人たちに職場の情報(青少年雇用情報)を提供するよう努めることを求めています。募集に応じようとする人から求められたときは、提供しなければなりません※1。
提供する項目は、同法の施行規則第3条で決まっています。主なものは次のとおりです※2。ただし、会社は、募集・採用の状況、能力開発、定着の状況の3つの区分ごとに、1項目以上を出せば足ります※3。次の項目が全部もらえるとは限りません。
- 直近3事業年度に採用した新卒者などの数と、そのうち離職した人の数
- 労働者の平均継続勤務年数(平均勤続年数)
- 研修の有無とその内容
- 労働者1人あたりの、直近の事業年度の月平均の所定外労働時間(残業時間)
- 労働者1人あたりの、直近の事業年度の有給休暇の平均取得日数
- 育児休業の取得状況、役員と管理職に占める女性の割合
ここで気をつけたいのは、この決まりが新卒などを条件にした募集の決まりだということです。経験者だけを対象にした募集は、この条文の対象とは読めません。転職する人が、法律にもとづいて求められる情報ではない、ということです(個別の判断は、都道府県の労働局に確かめてください)。
ただ、国の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」は、2026年10月1日時点で152,380社の職場情報を載せていて、「経験者採用等」のタグで絞り込めます※4。会社が載せているかどうかで見え方が変わるので、載っていない会社は、載っていないこと自体を理由に外さず、面接や採用担当者への質問で補いましょう。
職場情報の数字を、国の平均と並べて読む
職場情報の数字は、それだけでは良し悪しが分かりません。国の調査の平均と並べて、はじめて読めます。
| 調べる項目 | 国の平均(目安) | 出典 |
|---|---|---|
| 平均勤続年数 | 大企業(従業員1,000人以上)14.1年、中企業(100〜999人)12.4年、小企業(10〜99人)11.5年 | 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」企業規模別の賃金の表(男女計、一般労働者) |
| 月の残業時間 | 一般労働者で月13.2時間(働く人全体では9.8時間) | 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」第2表(事業所規模5人以上) |
| 有給の取得日数 | 1年に12.1日(付与18.1日のうち66.9%)。従業員1,000人以上は69.0%、30〜99人は64.9% | 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」第5表 |
| 新卒の離職者数 | 離職者数÷採用者数で、3年以内の離職率の目安を出す | 大卒の3年以内の目安は「3年は続けろ」の記事に載せています |
会社の残業時間がパートも含めた平均なら、働く人全体の9.8時間と比べてください。
勤続年数は、会社の若さにも左右されます。たとえば、小企業で平均勤続年数が5年の会社は、国の平均11.5年の約0.43倍です。ただし、会社ができて数年なら、短くて当然です。平均勤続年数が国の平均より大きく短いときは、会社を作った年と、新卒の採用者数と離職者数を、合わせて見ましょう。設立が10年より前なのに勤続が短く、離職者も多いなら、人が入れ替わり続けている可能性があります。
残業は月の時間ではなく、1年の日数に直して見る
「月の残業20時間」は、多いのか少ないのか、感覚がつかみにくい数字です。1日の所定労働時間は1企業平均で7時間49分※5なので、これで割ると、1年に何日分、余計に働くかが分かります。
- 月13.2時間(一般労働者の平均):13.2時間×12カ月=158.4時間、158.4÷7.8167時間 → 約20.3日分
- 月20時間:240時間 → 約30.7日分
- 月10時間:120時間 → 約15.4日分
有給の平均取得日数が年12.1日なので、月20時間の会社では、残業で増える日数が、有給で休める日数の約2.5倍になります。残業を休みで取り返せない計算です。
だから、資格の勉強や育児、通院のように、平日の夜に時間が要る人は、月の残業が10時間前後以下の会社を、応募の条件にする目安にしてよいでしょう(編集部の見方)。月の残業時間が少ない会社でも、有給の取得日数が少なければ、休みは増えません。残業時間と有給の取得日数は、必ずセットで見ましょう。
求人票の月給に固定残業代が含まれているかも、あわせて確かめてください。固定残業代を含む場合、基本給が低く見えることがあります。
数字が小さい会社と、数字に出ないことは、面接で補う
職場情報の数字は、会社が出した数字で、全体の平均です。次のような場合は、数字をそのまま信じず、人数や中身を確かめましょう。
- 新卒の採用が少ない会社:採用者が3事業年度で5人のうち2人が辞めれば、離職率は40%です。1人の違いで大きく動くので、率ではなく人数で見る
- 新卒を採っていない会社:離職者数は空欄になる。経験者の入社が多い会社なら、直近1年に辞めた人の人数と、在籍年数を面接で聞く
- 部署によって忙しさが違う会社:全社の平均が低くても、応募する部署が忙しいことがある。配属先の残業時間と繁忙期を聞く
離職率を会社が自分で出しているときは、数字の分母が「年初の常用労働者数」か「採用者数」かで意味が変わります。厚生労働省の雇用動向調査は、1年間の離職者数を年初の常用労働者数で割った値です※7。会社の数字と比べるときは、割り算の分母をそろえて確かめましょう。
また、離職率は業界で大きく違います。2025年の離職率は、全産業が13.7%、製造業が9.8%、金融業・保険業が6.6%、卸売業・小売業が11.9%、宿泊業・飲食サービス業が23.7%でした※8。宿泊業・飲食サービス業は、金融業・保険業の約3.6倍です(23.7÷6.6、編集部の計算)。全産業の平均に近いというだけで安心しないでください。ただし、しょくばらぼの数字と雇用動向調査の離職率は測り方が違うので、直接は比べられません。業界の差をつかむ目安として見てください。
「ホワイト」の基準は人によっても違います。給与を重視して、残業が多くても構わない人は、残業の基準をゆるめて、給与の水準を優先して選んで構いません。
想定の例で確かめて、次の一歩に進む
以下は、想定の場面です。
例:29歳・営業職。製造業の従業員80人の会社の求人を見つけた。職場情報には、直近3事業年度の新卒の採用者10人・離職者4人、平均勤続年数6.2年、月の所定外労働時間22時間、有給の平均取得日数8日と出ている。
→ この人は、職場情報の数字を国の平均と並べます。
- 新卒の離職:直近3年の採用10人のうち4人。採用者が少なく、雇用動向調査の離職率とは測り方も違うので、率にせず人数で見る
- 平均勤続年数:6.2年は、小企業の平均11.5年の約0.54倍。設立年を確かめる
- 残業:月22時間は、一般労働者の平均13.2時間の約1.7倍。1年では約33.8日分
- 有給:8日は、平均12.1日の約0.66倍
勤続年数・残業・有給はどれも国の平均より悪い向きで、新卒の離職も10人中4人と多めに見えるので、この人は面接で、直近1年に辞めた人の人数と、配属先の繁忙期の残業時間を聞きます。聞いても数字を出してもらえないときは、応募を見直します。
今週のうちに、気になる会社を1社選び、しょくばらぼで検索してください。載っていたら、離職者数・平均勤続年数・残業時間・有給の取得日数を表に書き写しましょう。載っていなければ、採用担当者に、同じ項目を聞くメールを送ってください。
新卒の離職率の目安は、「3年は続けろ」は本当かで確かめられます。
出典・注記(8件)
※1 青少年の雇用の促進等に関する法律第13条、e-Gov法令検索 ↩
※2 青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則第3条 ↩
※3 同規則第4条第3項 ↩
※4 厚生労働省「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」2026年10月25日に確認 ↩
※5 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」第1表 ↩
※6 国の平均の表の残業時間と、1日の所定労働時間をもとにした編集部の計算 ↩
※7 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」 ↩
※8 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表4-2、計 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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