お問い合わせXでフォロー
内定・比較

裁量労働制の求人に転職するとき

同意する前に書面で確かめること

PR2026年版公開 2026.10.29転職指南 編集部

先に結論

裁量労働制の求人は、同意前に、みなし労働時間・手当・配属先の実際の労働時間・同意しないときの扱いを書面で確かめましょう。2019年の厚生労働省の調査では、専門業務型で働く人の40.1%が、自分のみなし労働時間を「分からない」と答えていました。

無料・5分あなたの不満、社内で解決できる? 転職するなら何を確かめる?判断シートを試す →
この記事の目次
  1. 2019年の調査では、専門業務型で働く人の4割がみなし労働時間を知らなかった
  2. 同意する前に、採用担当者に書面で確かめること
  3. 同意しないときの扱いと、裁量労働制が合う人
  4. 残業代が出ている会社から、専門業務型の内定を受けた場面(例)
  5. 次の一歩は、求人票と労働条件通知書でみなし労働時間を探すこと

内定の連絡のあとに届いた労働条件通知書。始業・終業の時刻の欄に、「専門業務型裁量労働制」と書かれている。

今の会社では、残業した分だけ残業代が出ている。裁量労働制になったら、遅くまで働いても給与は増えないのだろうか。承諾の返事の期限は、来週に迫っている。

この記事では、裁量労働制で働く人のみなし労働時間と実際の労働時間を国の調査で確かめたうえで、同意する前に確かめることと、採用担当者への聞き方をまとめます。

2019年の調査では、専門業務型で働く人の4割がみなし労働時間を知らなかった

裁量労働制は、仕事の進め方と時間の配分を働く人に任せ、実際に何時間働いたかにかかわらず、あらかじめ決めた時間(みなし労働時間)を働いたものとみなす制度です。専門業務型は、システムの分析・設計、新しい商品や技術の研究開発、記事の取材・編集、デザインの考案など、法令で決められた20の業務に限って使えます※1。

2019年の厚生労働省の調査では、専門業務型で働く人のうち、自分の1日のみなし労働時間を「分からない」と答えた人が40.1%いました※2。4割の人が、自分が1日何時間働いたことになっているかを知らないまま働いていました。この調査は、専門業務型で本人の同意が要る決まりができる前のものです。

同じ調査で、専門業務型で働く人の1日の平均労働時間は8時間57分でした。みなし労働時間の平均は、調査が「通常考えにくい」とした4時間未満と12時間超の回答を除くと8時間15分で、除かない値は7時間38分です※3。除いた値で比べると、実際に働いた時間は、みなし労働時間より1日42分ほど長いことになります。みなし労働時間の平均は、自分のみなし労働時間を答えられた人(専門業務型で働く人の約6割)だけの数字で、平均労働時間とは答えた人の範囲が違うので、目安として見てください。

1日42分の差は、月に20日働くと約14時間です。裁量労働制でも、みなし労働時間のうち1日8時間を超える分と、深夜(22時〜5時)・法定休日に実際に働いた分には、割増賃金が出ます※4。ふだんの労働日に、みなし労働時間より長く働いた分は、深夜(22時〜5時)の割増賃金を除いて、残業代としては出ません。法定休日でない休みの日に働いた分の扱いは、労使協定と就業規則で確かめてください。

そのかわり、同じ解説では、みなし労働時間を決めるときは、裁量労働制にふさわしい処遇を確保することが必要とされ、その例として、特別の手当や基本給の引き上げが挙げられています※5。

裁量労働制の求人は、みなし労働時間と手当の額を、配属先で実際に働く時間と並べて、はじめて今の会社と比べられます。

同意する前に、採用担当者に書面で確かめること

2024年4月から、専門業務型裁量労働制を使う会社は、本人の同意を得ること、同意しなかった人を不利益に扱わないこと、同意を撤回する手続きを、労使協定に定めることになりました※6。就業規則に書いてあるだけでは、本人の同意になりません※7。

厚生労働省の解説では、会社は同意を得る前に、みなし労働時間を含む制度の概要、同意した場合の賃金と評価の決まり、同意しなかった場合の配置と処遇を、書面などで示して説明することが適切だとされています※8。承諾の返事の前に、この中身を次の表で確かめましょう。

確かめること 見る場所・聞く相手 答えで変わること
専門業務型か企画業務型か。任される仕事が対象の業務に当たるか 労働条件通知書・採用担当者 対象の業務でない仕事には、専門業務型は使えない
1日のみなし労働時間 求人票・労働条件通知書の始業・終業の時刻の欄(書く所が無い書式もある)・採用担当者 8時間を超える分には、割増賃金が出る
裁量労働制の人に付く手当の額。基本給の上乗せがあるか 賃金規程・採用担当者 長く働いた分が給与に表れるのは、主にここ
配属先の人の、実際の労働時間(月の平均) 採用担当者・面接官 みなし労働時間との差を、手当の額と比べる
同意しなかったとき・あとで撤回したときの配置と給与 会社が同意の前に示す書面・採用担当者 同意しない道を選べるか

手当と比べるときは、基本給を月の所定労働時間で割った時給の1.25倍に、みなし労働時間を超えて働く月の時間をかけましょう。これは、みなし労働時間が1日8時間の場合の比べ方です。実際の割増賃金の計算には一部の手当も入るので、目安として見てください。

採用担当者には、次のようなメールで聞けます。

労働条件通知書に専門業務型裁量労働制とありましたので、承諾のお返事の前に4点確認させてください。1日のみなし労働時間は何時間でしょうか。裁量労働制の方に支給される手当があれば、その額を教えてください。配属予定の部署の方の、月の平均の労働時間はどのくらいでしょうか。制度の適用に同意しなかった場合の配置と給与は、どのようになりますか。

返ってきた答えはメールのまま残し、同意書に署名する前に、労働条件通知書と食い違いがないかを見てください。

同意しないときの扱いと、裁量労働制が合う人

働いている人が制度の適用に同意しなくても、会社は解雇や減給などの不利益な扱いをしてはなりません。同意したあとでも、決められた手続きで撤回できます※9。

ただし、裁量労働制の人だけに付く手当や等級が、あらかじめ就業規則などで決まっている会社では、その中身が明らかに不合理でない限り、同意しない人にその手当が付かないことは、不利益な扱いに当たらないとされています(当たるかどうかは、個別の事情に応じて判断されます)※9。

入社の前の内定の段階で同意しないと答えたときの扱いは、厚生労働省の解説には書かれていません。同意しない場合に、どの仕事・いくらの月給で採用されるのかを、承諾の返事の前に採用担当者に書面で確かめてください。

次のような人には、裁量労働制が合うことがあります。

  • 仕事の進め方と、始める時間・終える時間を、自分で決めて働きたい人
  • 配属先の実際の労働時間が、みなし労働時間とほとんど変わらない人
  • みなし労働時間を超えて働く分より、手当の額のほうが多い人

反対に、締め切りや作業の手順を細かく指示される部署では、働き方は今と変わらないのに、残業代が出なくなるおそれがあります。仕事の進め方と時間の配分を自分で決められない場合は、みなし労働時間の効果は生じないとされています※10。その場合は、実際に働いた時間に応じた割増賃金が必要になります※11。面接や面談で、仕事の進め方と締め切りを誰が決めるかも聞いておきましょう。

手当で差をまかなえず、今の会社の残業代を含めた年収を下回るなら、承諾を急がず、ほかの内定や今の会社に残る道と並べて比べましょう。入社後に、仕事の進め方や始業・終業の時刻を細かく指示されているのに残業代が出ないときや、深夜・法定休日の割増賃金が出ないときは、労働基準監督署に相談してください。

残業代が出ている会社から、専門業務型の内定を受けた場面(例)

以下は、想定の例です。

例:29歳・システムエンジニア。内定先の労働条件通知書には「専門業務型裁量労働制、みなし労働時間1日8時間」とあり、月給は基本給32万円と裁量労働手当4万円。月の所定労働時間は160時間。今の会社では、月20時間ほどの残業代が出ている。

→ この人は、承諾の返事の前に、採用担当者にメールで、配属先の平均の労働時間と手当の決まりを聞きます。配属先の平均は1日9時間ほどと分かったので、みなし労働時間を超える分は月20時間ほどです。基本給から出した時給2,000円の1.25倍で見ると、月20時間は5万円分になり、手当の4万円では1万円足りません。この人は、手当が残業代の目安より月1万円(年12万円)少ないことを書き留めたうえで、内定先の年収を、今の会社の残業代を含めた年収と並べて、承諾するかを決めます。

次の一歩は、求人票と労働条件通知書でみなし労働時間を探すこと

今週のうちに、内定先の求人票と労働条件通知書を開き、裁量労働制の型と、1日のみなし労働時間が書かれているかを確かめてください。書かれていなければ、承諾の返事の前に採用担当者に聞きましょう。

「みなし残業」「固定残業代」と書かれていたら、それは決まった時間分の残業代を先に月給に入れておく決め方で、裁量労働制とは別の制度です。その見方は、みなし残業の求人票の見方で確かめられます。

出典・注記(11件)

※1 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「専門業務型裁量労働制の解説」2024年 5〜8頁 ↩

※2 厚生労働省「裁量労働制実態調査」令和元年 結果の概要 図3-4-1 ↩

※3 厚生労働省「裁量労働制実態調査」令和元年 結果の概要 表3-2-2、表3-4-3とその注 ↩

※4 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「専門業務型裁量労働制の解説」2024年 22頁 ↩

※5 厚生労働省ほか「専門業務型裁量労働制の解説」2024年 10頁 ↩

※6 厚生労働省「裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です」2023年 ↩

※7 厚生労働省ほか「専門業務型裁量労働制の解説」2024年 19頁 ↩

※8 厚生労働省ほか「専門業務型裁量労働制の解説」2024年 13・19頁 ↩

※9 厚生労働省ほか「専門業務型裁量労働制の解説」2024年 14頁 ↩1 ↩2

※10 厚生労働省労働基準局「労働法の基礎講座」第24回 3頁 ↩

※11 厚生労働省・都道府県労働局「裁量労働制の求人を行う際の留意点」2018年 ↩

数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針

この記事にはプロモーション(広告)が含まれます。(広告について)

求人票の見方が分からない内定を比べたい

転職の判断シートを試す無料