自己都合の失業保険はいつから・いくら?自分で数える4つの手順
先に結論
自己都合で辞めた場合、失業給付(雇用保険の基本手当)が支給されるのは、ハローワークで手続きした日から待期7日と給付制限1カ月が過ぎたあとです。最初の振込は手続きから2カ月ほど先と見込み、金額は直近6カ月の総支給額を180で割り、50〜80%を掛けた日額で数えましょう。
次の会社が決まらないまま辞めたら、生活費はどうなるのか。失業給付(雇用保険の基本手当)が出るとは聞くけれど、自己都合だと何カ月も待たされるという話もあって、結局いつから、いくらもらえるのかが分からない。
この記事では、自己都合で辞めたときの失業給付を、自分の給与明細と入社日から数える手順をまとめます。
間が空いても、失業給付を受け取った人は多くない
厚生労働省が、2024年10月〜2025年9月にフルタイムで採用された転職者に聞いた調査では、前の会社を自己都合で辞め、次の会社まで間(離職期間)が空いた人のうち、失業給付を受け取った人は23.8%でした。間の長さ別では、受け取った人は、1カ月以上2カ月未満で5.4%、2カ月以上4カ月未満で39.7%です(離職の理由を問わない数字です)※1。
なお、この調査の対象には、給付制限が2カ月だった2025年3月以前に辞めた人も含まれます。給付制限が1カ月の今は、割合が変わっている可能性があります。
間が2カ月に満たない見込みなら、失業給付は生活費の計算に入れないでください。辞める前の貯金を数えるときは、2カ月以上でも受け取れる額を当てにせず、長引いたときの予備として扱いましょう。
先に確かめたい、計算が変わる人
- 内定が出てから辞める人は、「失業の状態」ではないので、対象になりません
- 辞めた日からさかのぼって5年のあいだに、正当な理由のない自己都合の退職で2回以上、受給資格の決定を受けている人は、給付制限が3カ月になります
- 2025年4月1日以降に受講を始めた教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを、辞める前の1年以内に受けた人(途中でやめた場合は対象外)や、辞めたあとに受けている人(受け始めた日から)は、給付制限が解除されます。申し出には期限があるので、手続きのときにハローワークに伝えてください
体力の不足や病気、結婚に伴う引っ越しで通勤が難しくなった、家族の看護が必要になった、など、辞める理由に「正当な理由」があると判断されると、自己都合でも給付制限はかからないとされています。
会社側の事情で辞めたと判断される次のような人(特定受給資格者)も、給付制限はかかりません。
- 辞める前の6カ月のうちに、3カ月続けて月45時間を超える残業などがあった
- 賃金の3分の1を超える額が、支払日までに払われなかった
- 上司や同僚から、故意の排斥や、著しい冷遇・嫌がらせを受けた
- 会社から退職を勧められた(前からある早期退職優遇制度への応募は除く)
- 採用のときに示された労働条件が、事実と著しく違った(違いが生じてから1年以内に辞めることなどが条件とされています)
当てはまりそうな人は、離職票に「自己都合」と書かれていても、残業の記録や給与明細などを持って、ハローワークに相談してください。
特定受給資格者や、正当な理由のある自己都合で辞めた人(特定理由離職者の一部)は、国民健康保険の保険料(税)が軽くなることがあります(対象は、雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)の「離職理由」の欄が、11・12・21・22・23・31〜34の人)。
自分で数える4つの手順
直近6カ月の給与明細と入社日を用意して、次の4つを順に数えてください。
受け取れるか:辞める日からさかのぼって2年のあいだに、雇用保険に入っていた月が通算12カ月以上あることが条件です。正確な月数は、ハローワークで確かめてください。次の人は、数え方が変わります。
- 病気やけが、出産、育児などで、30日以上続けて賃金を受けられなかった期間がある人は、その日数だけ「さかのぼって2年」が延びます(延ばしたあとの期間は最長4年)
- 前の会社で雇用保険に入っていた月も、2年のうちなら足して数えられます。ただし、前の会社を辞めたときに失業給付(再就職手当を含む)を受け取っていたら、そのあとの期間だけで数えます
何日分か:自己都合で辞めた人の日数は、年齢に関係なく、雇用保険に入っていた期間の合計で決まります。前の会社の期間は、会社と会社のあいだが1年以内なら足せます。1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です※4。
いくらか:1日あたりの額(基本手当日額)を、次の順で数えます。率と金額は、離職時に60歳未満の人の、2026年8月1日からのものです(毎年8月1日に見直されます)。
- 直近6カ月の総支給額(税金や社会保険料を引く前の額)を足し、180で割る。残業代や通勤手当などの手当は含め、賞与は除く。これが「賃金日額」
- 賃金日額に、次の率を掛ける。1円未満は切り捨てる
- 5,480円未満:80%
- 5,480円以上13,490円以下:「0.8×賃金日額−0.3×(賃金日額−5,480)÷8,010×賃金日額」
- 13,490円超:50%
- 基本手当日額の上限は、29歳以下が7,450円、30〜44歳が8,270円、45〜59歳が9,110円。下限は年齢に関係なく2,562円
いつからか:辞める前に、会社に離職票がほしいと伝えておきましょう。ハローワークで手続きした日から7日間の待期と、そのあと1カ月の給付制限のあいだは、失業給付は支給されません。
支給は、給付制限が明けたあとの認定日(原則4週間に1回、ハローワークへ行く日)からで、振込は認定日の約7日後です。
認定日までに、求人への応募などの求職活動を原則2回以上(最初の認定日までは1回以上)してください※6。
たとえば9月30日に辞めて10月13日に手続きすると、給付制限は10月20日〜11月19日です。11月10日の認定日は給付制限中なので支給はなく、次の12月8日の認定日に11月20日〜12月7日の18日分が認定され、12月15日ごろに最初の振込があります(計算の例。認定日はハローワークが指定するので、実際の日付は変わります)。最初の振込までは、手続きの日からおよそ2カ月、退職日からおよそ2カ月半です。
受け取れるのは、原則として辞めた日の翌日から1年のあいだです。手続きが遅れて1年を過ぎると、日数が残っていても受け取れません※7。
病気やけが、妊娠・出産・育児のためにすぐには働けないときも、失業給付は受けられません。その場合は、受け取れる期間を延ばす手続き(受給期間の延長)ができることがあります※8。
早く決まりそうでも、離職票が届いたら手続きをしておきましょう。条件を満たせば、再就職手当を受けられる場合があります。ただし、給付制限を受けた人が、待期が明けてから1カ月のあいだに就職するときは、ハローワークか許可・届出のある職業紹介事業者の紹介でないと対象になりません※9。
想定の例で考える
例:27歳・営業事務。新卒で入社して5年、雇用保険の加入も5年。次の会社は決めずに辞めたい。直近6カ月の総支給額の合計は162万円。
加入は5年なので、受け取る条件を満たし、日数は90日です。162万円を180で割った賃金日額は9,000円、基本手当日額は6,013円で、90日分は54万1,170円になります(計算の例)。
→ この人は、給付の額だけで辞めるかを決めません。給付を差し引かずに、入社後の最初の給料日までの生活費と、健康保険・年金・住民税、長引いたときの予備を、貯金で払えるかを先に確かめます。払えるなら、辞めてから探す道を選びます。払えないなら、在職中に転職活動を始めます。
次の一歩は、自分の賃金日額を出すこと
直近6カ月の給与明細を出し、自分の賃金日額を計算してください。
退職日をボーナスの支給日とあわせて決めたいときは、ボーナスをもらってから辞めるには|退職日から逆算する4つの手順も読んでみてください。
出典・注記(9件)
※1 厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人調査 第28表 ↩
※2 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q2・Q7・Q20・Q22、リーフレット「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」、ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」 ↩
※3 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」、厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q2・Q45 ↩
※4 ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」、厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q45 ↩
※5 厚生労働省リーフレット「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」令和8年8月1日から、「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q10、「雇用保険に関する業務取扱要領」 ↩
※6 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q5・Q8・Q20・Q29・Q33、ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」 ↩
※7 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q11 ↩
※8 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 ↩
※9 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q39・Q40 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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