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年収・評価

公務員から民間への転職で失業手当は出る?退職手当との差を確かめる

PR2026年版公開 2026.10.31転職指南 編集部

先に結論

公務員は雇用保険に入れませんが、国家公務員退職手当法では、退職手当が失業手当(基本手当)に相当する額に届かず、退職後に失業している人へ、ハローワークを通じて差額が支給されます。内閣人事局の令和6年度の集計では、自己都合で辞めた国家公務員のうち勤続5年未満の人の平均退職手当は30.7万円で、失業手当の目安に届かないこともあるので、辞める前に差額が出るかを確かめましょう。

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この記事の目次
  1. 公務員は雇用保険に入れないが、退職手当が足りない人には差額が出る
  2. 勤続年数で、退職手当と失業手当のどちらが大きいかが変わる
  3. 年金は、公務員も民間も同じ厚生年金になった
  4. 当てはまらない人と、辞める時期で退職手当が大きく変わる人
  5. 想定の例で確かめて、人事課に退職手当と退職票のことを聞く

次の春に、公務員から民間の会社へ移ろうか考えている。次の仕事が決まってから辞めるつもりだけれど、決まらないまま年度が終わったらどうなるのかが気になる。公務員は雇用保険に入っていないと聞くので、民間の人が受け取る失業手当は、自分には出ないのかもしれない。

退職金のことも、年金のことも、民間へ移った先輩に聞く機会がなく、何を確かめればよいのかが分からない。

この記事では、公務員が民間に移るときの失業手当・退職手当・年金の違いを、法律と国の集計で確かめて、辞める前に人事に聞くことをまとめます。

公務員は雇用保険に入れないが、退職手当が足りない人には差額が出る

雇用保険法は、国や自治体の事業に雇用される人のうち、離職したときに他の法令や条例で受け取る給与の内容が、失業手当などの内容を超えると認められる人で、厚生労働省令で決めたものには適用しないと定めています※1。公務員が失業手当(基本手当)を受け取れないのは、この決まりのためです。代わりに、退職手当があります。

ここで見落としやすいのが、国家公務員退職手当法の「失業者の退職手当」です。勤続12か月以上で退職し、退職後に失業している職員で、すでに受け取った退職手当の額が、雇用保険に入っていたら受け取れた基本手当の総額に満たない場合、その差額が、ハローワークを通じて退職手当として支給されます※2。差額は、受け取った退職手当を雇用保険の基本手当の日額で割った日数分が過ぎたあと、失業している日につき基本手当の日額が支払われる形です(受け取れるのは、所定給付日数分の総額から退職手当を引いた額が上限)。厚生労働省のサイトにも、国家公務員の「失業者の退職手当」として説明があります※3。

地方公務員は、自治体ごとの退職手当条例で決まります。たとえば埼玉県の案内では、次の条件をすべて満たすと支給されます※4。

  • 勤続12か月以上の常勤職員として退職した(退職時に65歳以上なら6か月以上)
  • 退職日の翌日から1年以内に失業している
  • 退職手当の額が、雇用保険の基本手当に相当する額に届かない

ここでいう失業は、働く意思があり、すぐ働ける状態で求職活動をしているのに、就職できていない状態です。退職票(民間の離職票にあたるもの)は、人事課に頼んで出してもらいます。ほかの自治体にも同じ仕組みがあることが多いので、自分の職場の条例や規則は人事で確かめてください。

勤続年数で、退職手当と失業手当のどちらが大きいかが変わる

差額が出るかどうかは、勤続年数でほぼ決まります。まず、実際に支給された額を見ます。内閣人事局の集計では、令和6年度に自己都合で辞めた常勤の国家公務員9,951人のうち、勤続5年未満が4,489人(45.1%、編集部の計算)で、平均退職手当は30.7万円でした。勤続5〜9年の2,165人は96.9万円、10〜14年の1,002人は287.0万円、15〜19年の657人は538.5万円です※5。

次に、失業手当側の大きさを数えます。基本手当の日額は、賃金日額(離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った額。賞与は除く)のおよそ50〜80%(賃金の低い人ほど高い率)です※6。給付される日数は、雇用保険に入っていた期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です※7。

賃金日額は月の賃金を30で割った額に近いので、90日分の総額は、月の賃金のおよそ1.5〜2.4か月分、120日分なら2.0〜3.2か月分です(編集部の計算)。

一方、自己都合で辞めた国家公務員の退職手当の基本額は、俸給月額に、勤続年数ごとの割合を掛けて数えます。勤続10年以下は1年につき1か月分で、自己都合の場合は、その6割に抑えられます※8。さらに、当分の間の特例として83.7%を掛けます※9。たとえば勤続3年なら、3×0.6×0.837=約1.5か月分です(編集部の計算)。この計算に当てはめると、次の表になります。

勤続年数 自己都合の退職手当の基本額(俸給月額の何か月分) 失業手当の総額の目安(月の賃金の何か月分) 差額が出るか
1年 0.5か月分 1.5〜2.4か月分(90日) 出る見込み
2年 1.0か月分 1.5〜2.4か月分(90日) 出る見込み
3年 1.5か月分 1.5〜2.4か月分(90日) 出る見込み
5年 2.5か月分 1.5〜2.4か月分(90日) 賃金次第
10年 5.0か月分 2.0〜3.2か月分(120日) 出ない

表の退職手当は基本額だけで、もとは俸給月額です(失業手当のもとは、手当を含む賃金)。調整額は、自己都合で辞めた人のうち勤続9年以下なら0で、勤続10年以上24年以下なら計算した額の半分が加わります※10。失業手当の側には年齢ごとに日額の上限があり、30歳未満は7,450円です※11。表は編集部の計算による目安で、実際の額は、退職手当の見込み額と給与明細で数えてください。

数字から言えるのは、勤続が短い人ほど、退職手当だけでは失業手当に届きにくく、差額を受け取れる可能性があることです。自己都合で辞める国家公務員の約45%を占める勤続5年未満の層の平均30.7万円は、月給22万円の人の失業手当の目安(90日分で約48万円。編集部の計算)を下回ります。勤続5年前後は賃金次第で、10年では差額は出ない見込みです。

年金は、公務員も民間も同じ厚生年金になった

年金は、2015年10月から被用者年金が一元化され、公務員も民間の会社員と同じ厚生年金に加入する形になりました。共済年金にあった上乗せ部分(職域部分)は廃止され、代わりに「年金払い退職給付」が新しくできています。2015年9月までの共済年金に加入していた期間には、期間に応じた職域加算部分が支給されます※12。

公務員から民間へ移っても、年金の土台は同じ厚生年金です。年金額の計算には、公務員だった期間も民間の会社の期間も、厚生年金の加入期間として入ります。年金払い退職給付の受け取り方や、辞めたあとの手続きは、加入している共済組合に確かめてください。

次の会社に入るまでに空きができる場合は、その間の国民年金の手続きが要ります。手続きは、市区町村の窓口で行います。

当てはまらない人と、辞める時期で退職手当が大きく変わる人

次の人には、この記事の差額の話が当てはまりません。

  • 次の会社が決まってから辞める人は、退職後に失業していないので、差額の対象になりません。入社日が退職日の翌日なら、手続きは要りません
  • 自己都合で辞める人で、勤続12か月に満たない人は、条件を満たさないので対象になりません
  • 非常勤などで雇用保険に入っている公務員は、民間と同じ失業手当の対象になることが多いです。自分がどちらかは、人事に確かめてください

もうひとつ、辞める時期を決めるときに見てほしい数字があります。同じ集計で、自己都合の退職手当の平均は、勤続15〜19年で538.5万円、20〜24年で940.0万円で、差は401.5万円です(別々の人の平均どうしの差で、同じ人が5年待ったときの増え方ではありません。編集部の計算)。勤続15年を過ぎた人は、今辞めたときと数年後に辞めたときの退職手当の見込み額を、人事に両方出してもらってから、辞める時期を決めてください。

想定の例で確かめて、人事課に退職手当と退職票のことを聞く

以下は、想定の例です。

例:25歳・国の出先機関の事務職(国家公務員)。勤続3年で、俸給月額は20万円、毎月決まって支払われる賃金は手当を含めて22万円。次の仕事が決まらないまま3月末で退職する。

→ この人の退職手当の基本額は、20万円×3年×0.6×0.837=約30.1万円です(編集部の計算)。一方、失業手当は、賃金日額が約7,333円なら給付率がおよそ7割で、90日分で約48万円です(編集部の計算)。

→ この人は、退職前に人事課へ、調整額を含めた退職手当の見込み額と、退職票の出し方を聞きます。見込み額が失業手当の目安より少なく(約30.1万円は約48万円より少ない)、退職後に失業しているなら、ハローワークで求職の申込みをすると、差額を受け取れます。差額は、多くても失業手当の総額から退職手当を引いた約18万円です(編集部の計算。就職が早まれば、その分減ります)。受け取りの前の待期や給付制限の扱いは、ハローワークで確かめてください。無収入の期間の家賃や食費は、貯金で数えておきます。

退職の申し出の時期は、職場ごとに決まっています。年度末に辞めるなら、申し出の前に、人事課の担当に次のことを聞いてください。

  1. 自分の勤続年数と俸給月額で、自己都合で辞めたときの退職手当は、いくらになるか
  2. 退職後に失業した場合に、退職票を出してもらえるか。出してもらうには何が要るか

見込み額が分かったら、直近6か月の給与明細から、失業手当の目安と比べましょう。

民間の失業手当の数え方は、自己都合の失業保険はいつから・いくら?で確かめられます。

出典・注記(12件)

※1 雇用保険法第6条第6号 ↩

※2 国家公務員退職手当法第10条 ↩

※3 厚生労働省「政府職員失業者退職手当」 ↩

※4 埼玉県「失業者の退職手当」 ↩

※5 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」令和6年度 表2 ↩

※6 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 ↩

※7 雇用保険法第22条第1項 ↩

※8 国家公務員退職手当法第3条第1項・第2項 ↩

※9 国家公務員退職手当法附則第6項 ↩

※10 国家公務員退職手当法第6条の4 ↩

※11 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」令和8年8月1日現在 ↩

※12 厚生労働省年金局年金課「被用者年金の一元化について」平成27年11月30日 第67回社会保障審議会年金数理部会 資料1 ↩

数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針

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