転職サイトと転職エージェントの違いは?法律の区分で分かる使い分け
先に結論
転職サイトは求人を載せて自分で応募してもらう仕事、転職エージェントは担当者が求人を選んで就職をあっせんする仕事です。法律では「募集情報等提供」と「職業紹介」に分かれ、厚生労働省の集計(速報)では、2024年度に有料の職業紹介で常用就職が決まった1件あたり、全職種の平均で約103万円の手数料が払われています(求職者からは原則取れず、求人した会社が払うのが一般的です)。
この記事の目次
転職を考えて調べると、「転職サイト」と「転職エージェント」がどちらも出てきます。同じ会社のページに、サイトの登録とエージェントの登録が並んでいることもあります。
どこが違うのか分からないまま登録すると、電話が来て驚いたり、思っていた求人が見られなかったりします。
この記事では、二つの違いを職業安定法の区分で確かめ、画面で見分ける問いと、自分で探すか相談するかの分け方をまとめます。
法律は、情報を載せる仕事と、就職をあっせんする仕事を分けている
職業安定法は、求人と求職の申込みを受け、雇用関係の成立をあっせんすることを「職業紹介」と定めています※1。転職エージェントは、この職業紹介を仕事にしています。
一方、会社の依頼を受けて募集の情報を載せたり、求職者の依頼を受けて求職者の情報を会社に渡したりすることは「募集情報等提供」といいます※2。厚生労働省のQ&Aは、求人サイトをこの例に挙げています※3。
二つは、法律上の立場も、求職者に関わる決まりも違います。
| 見るところ | 転職サイト(募集情報等提供) | 転職エージェント(有料の職業紹介) |
|---|---|---|
| 仕事 | 募集の情報を載せる。応募は自分で会社に出す | 求人と求職を受け、就職をあっせんする |
| 国の許可 | 許可は要らない。求職者の情報を集めて行う型(特定募集情報等提供。第4条第7項)は届出が要る(第43条の2) | 厚生労働大臣の許可が要る(第30条第1項) |
| 求職者が払う費用 | 応募の対価としての報酬は禁止(第43条の3。求職者の情報を集めて行う型) | 手数料は原則取れない(第32条の3第2項) |
| 実績の公開 | 広告の表示や苦情の扱いなどを公開する努力義務(第43条の6) | 紹介で就職した人の数などの情報を提供する義務(第32条の16第3項) |
求職者の側から見ると、どちらも、多くは無料で使えます。違うのは、間に入る人が「情報を載せるだけ」か「就職を取り持つ」かです。
同じ会社の画面でも、立場は変わる。見分ける3つの問い
転職サイトを運営する会社が、転職エージェントの事業も持っていることがあります。紹介事業者が紹介求人をサイトに載せるだけなら、それは職業紹介の一環とされます※4。
厚生労働省は、職業紹介にあたるかどうかの目安も示しています。人が決めているか、コンピュータが自動で決めているかは問いません※5。登録した画面で、次の3つを確かめてください。
- 求人を、条件を入れて全件検索できるか。全件検索ができて、一部の求人が届くだけなら、職業紹介の目安には当たりません
- 求人は原則非公開で、事業者が選んだ求人だけを勧められるか。この形は職業紹介と考えられます
- 事業者が、求人を出す会社に「応募を確約する」と宣伝していないか。連絡した時点で雇用契約が成立する仕組みがないか。あれば職業紹介の許可が要ります。当てはまったら、その事業者の許可番号を人材サービス総合サイトで確かめてください
全件検索ができる画面は、自分で探して応募する転職サイトの使い方です。非公開の求人を事業者が選んで勧める画面は、担当者に求人を選んでもらう転職エージェントの使い方です。
エージェントの費用は、求職者ではなく求人した会社が払うのが一般的
転職エージェントの費用は、求職者から取ることが原則禁じられています。では、誰が払っているのでしょうか。
厚生労働省の集計では、2024年度に有料の職業紹介で常用就職が決まったのは888,993件でした。常用就職に係る手数料は約9,136億円で、常用就職1件あたりでは約103万円です※6。
集計には支払い元の欄がありませんが、求職者から取れない以上、求人した会社が払うのが一般的です。つまり、転職エージェントが持つ求人の多くは、採用が決まれば平均で約103万円(全職種の平均)の手数料がかかることを受け入れて、会社が紹介を頼んだ求人です。
この数字から分かることが二つあります。一つ目は、応募したい会社が決まっていて、その会社が自社の採用ページや転職サイトで求人を公開しているなら、エージェントを通さなくても応募できることです。二つ目は、公開されていない求人を見たいなら、主な方法はエージェントだということです。スカウトなど、ほかの道もあります。
もう一つ、登録の前に確かめてほしい数字があります。同じ集計で、報告を出した有料職業紹介の事業所は30,561か所。そのうち就職の実績があったのは13,946か所で、約46%でした(編集部の計算)。この分母は、家政婦や配ぜん人など、転職以外の紹介をする事業所も含む、すべての有料職業紹介の事業所です。すべての紹介事業所で見た数で、転職の紹介に限った割合は分かりません。登録前に、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、その事業者が紹介で就職させた人の数を見ましょう。
自分で探すか相談するかは、求人が公開されているかで分ける
「どちらがおすすめか」ではなく、自分が見たい求人がどこにあるかで分けます。
| 自分の状況 | 向いている使い方 |
|---|---|
| 応募したい会社や職種が決まり、求人が公開されている | 転職サイトの全件検索か、会社の採用ページ。自分で応募する |
| 公開されていない求人も見たい。担当者に求人を選んでほしい | 転職エージェント。登録の前に紹介の実績を確かめる |
| 経歴を登録して、会社から声がかかるのを待ちたい | 転職サイトのスカウトの機能。声がかかっても、応募するかは自分で決める |
二つを一緒に使うこともできます。ただし、同じ会社の求人を、サイトとエージェントの両方から応募しないでください。応募の窓口は一つにそろえましょう。
次のような人は、上の分け方が当てはまりません。
- 国の紹介を使いたい人:ハローワークの職業紹介は、国の無料の紹介です。地元の会社に絞って探すなら、民間のサービスと並べて見てください。
- 登録の前にお金を求められたとき:有料職業紹介は、求職者からの手数料を原則取れません。「登録料」を求められたら、払う前に都道府県労働局に聞いてください。サイトのシステム利用料は、応募と関係なく取るものなら法律上は禁止されません。名目が実質的に応募の対価なら違反です。
- 辞めるか残るかがまだ決まっていない人:エージェントは求人の紹介が仕事なので、面談の話は応募に向かいやすくなります。最初の面談で、まだ応募を決める段階ではないと伝えましょう。
求人を2社見つけた人の例と、次の一歩
以下は、想定の例です。
例:34歳・製造業の品質管理。同じ業界の求人を、転職サイトの検索で2社見つけた。ただ、希望の勤務地では公開求人が少なく、非公開の求人も見たい。
→ この人は、見つけた2社には、サイトから自分で応募します。求人が全件検索できて公開されているので、エージェントを通す必要はありません。一方、公開されていない求人も見たいので、人材サービス総合サイトで紹介の実績を確かめてから、エージェントを1社だけ使います。最初の面談では、サイトで見つけた2社には自分で応募すると伝え、重ならない求人だけを紹介してもらいます。
今週のうちに、気になるサービスの登録前の画面か説明ページを開き、全件検索ができるか、非公開の求人を選んで勧められるか、応募の確約や雇用契約の成立をうたっていないかを確かめてください。求人が全件検索できるなら転職サイト、非公開で担当者が選ぶなら転職エージェントとして使います。
エージェントを使うと決めたら、転職エージェントの面談で聞くことで、最初の面談の前に聞くことを整理しておきましょう。
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