辞めてから転職するなら貯金はいくら?生活費と保険料から数える目安
先に結論
辞めてから転職するなら、生活費と健康保険・年金の6カ月分に、住民税、入社後の最初の給料日までの生活費、延びたときの予備4カ月分を足した額を、貯金と比べましょう。届かなければ辞める前から在職中に応募を始め、届く場合も、10カ月を超えたときの支出の減らし方と収入の得方を決めてから、退職日を決めてください。
この記事の目次
今の会社を先に辞めて、少し休んでから次の会社を探したい。けれど、貯金がいくらあれば足りるのかが分からない。
この記事では、辞めてから次の会社に入るまでの月数を国の調査で確かめ、生活費・保険料・住民税から必要な貯金を数える方法をまとめます。
辞めてから探した人の4割は、入社まで6カ月以上かかっている
厚生労働省が、2024年10月〜2025年9月にフルタイムで採用された転職者(正社員以外も含む)に聞いた調査では、辞めてから転職活動を始めた人が、前の会社を辞めてから次の会社に入るまでの期間は、次のとおりでした(年齢や辞めた理由を問わない数字です)※1。
辞めてから探すなら、次の会社に入るまで6カ月かかる前提で貯金を数え、それより延びたときの分も別に見込みましょう。
失業給付はすぐには入らないので、貯金の計算から引かない
自己都合で辞めたときの失業給付(雇用保険の基本手当)は、ハローワークで求職を申し込み、手続きをした日からの7日間(待期)と、そのあとの給付制限の間は支給されません。給付制限は、2025年4月1日以降に辞めた人は原則1カ月です。ただし、辞めた日までの5年のあいだに、正当な理由のない自己都合で辞めて2回以上、失業給付の受給資格の決定を受けている人は3カ月です※2。
支給は給付制限が明けたあとの認定日からで、認定日(原則4週間に1回)ごとに求職活動の実績も要ります。仕事を探さずに休んでいるあいだは受け取れないとされています※3。
この記事では失業給付を貯金の計算から引かず、受け取れた分は延びたときの予備に回します。
次の人は、失業給付の受け取り方や、あとの表の数え方が変わります。
- 少し休んでから探す人:休んで手続きを遅らせた分だけ、失業給付の受け取り始めも遅れます。表の生活費と保険料は、休む月数を6カ月に足して数えてください
- 倒産や解雇、長時間の残業、病気、家族の看護などで辞める人:ハローワークで特定受給資格者や特定理由離職者と判断されると、給付制限はかからないとされています※4。理由を示せる書類を持って相談してください
- 病気やけが、妊娠、出産、育児などで、すぐには働けない人:働けないあいだは失業給付を受けられないとされています※5。受け取れる期間を延ばせるかを、ハローワークに相談してください
- 教育訓練を受けた人:2025年4月以降に始めた教育訓練給付金の対象講座などを、辞める前の1年以内に受け終えた人(途中でやめた人は除く)や、辞めたあとに受けている人(受講を始めた日から)は、給付制限が解除される仕組みがあります※6。申し出の期限をハローワークで確かめてください
辞める前に用意したい貯金を、生活費・保険料・住民税から数える
次の表に自分の数字を入れてください。右の列は、9月30日に辞めて翌年4月1日に入社する(間が6カ月の)例です。
| 項目 | 数え方 | 例 |
|---|---|---|
| 生活費 | 毎月の生活費×6カ月 | 18万円×6=108万円 |
| 健康保険と年金 | (健康保険料+国民年金1万7,920円(2026年度))×6カ月 | 4万6,144円×6=27万6,864円 |
| 住民税の残り | 月割額×(辞めた月の翌月から5月までの月数。5月に辞めた人は0) | 1万2,000円×8=9万6,000円 |
| 6カ月で見た試算額 | 生活費+健康保険と年金+住民税の残り | 145万2,864円 |
| 給料日までの生活費 | 毎月の生活費×入社日から最初の給料日までの月数 | 18万円×2=36万円 |
| 延びたときの予備 | (毎月の生活費+健康保険と年金)×4カ月 | 22万6,144円×4=90万4,576円 |
| 新しい年度の住民税 | 予備を使い切って入社したときの、最初の給料日までに来る、次の6月からの納期の回数×月割額×3 | 1万2,000円×3×2回=7万2,000円 |
| 辞める前に用意したい額 | 試算額+給料日までの生活費+予備+新しい年度の住民税 | 278万9,440円 |
(計算の例。東京都・協会けんぽ・40歳未満・単身、月の総支給額27万円(標準報酬月額28万円)、次の会社は月末締め翌月25日払い。健康保険は任意継続の2万8,224円、住民税の月割額は例として置いた額。保険料は2026年度の額での概算)※7
各行の数字は、次のように確かめてください。
- 生活費:カードの利用額と口座からの引き落としはどちらか一方だけを数え、貯金や口座間の振替は除いてください。面接の交通費など転職活動のお金も含め、税金と社会保険料は入れません
- 健康保険と年金:健康保険は、今の会社の健康保険を続ける任意継続(退職日までに続けて2カ月以上加入し、退職日の翌日から20日以内に申し出た場合。保険料は給与明細の健康保険料のおよそ2倍で、子ども・子育て支援金が明細で別の行なら、それも足して2倍)と、市区町村で試算してもらった国民健康保険料の安いほうを入れてください※8。月数は、退職日の翌日から入社日の前日までに入る月末の数です。翌年度にかかる月は、翌年度の保険料で計算し直してください
- 住民税の残り:住民税は前の年の所得で決まるので、辞めても下がりません。月割額は給与明細の住民税の欄で確かめてください(辞めた月の分までは給与から引かれる前提)
- 給料日までの生活費:月末締め翌月25日払いで1日に入社すると、最初の給料日まで約2カ月です。締め日・支払日と最初の給与の額は、内定のときに受け取る労働条件の書面で確かめてください
- 延びたときの予備:4カ月分あれば、6カ月と合わせて10カ月まで暮らせます
- 新しい年度の住民税:辞めたあとは、納付書で6月・8月・10月・翌年1月の年4回に納めるのが一般的です※9。予備を使い切って入社した場合の最初の給料日までに来る、次の6月からの納期の回数に、今の月割額×3を掛けてください(前の年の所得が今と同じくらいという仮定)。給料日より後の分は、入社後の給与から払うか、次の会社で引いてもらう前提です
予備の4カ月は編集部が置いた目安で、10カ月を超える人もいます。辞めてから探した人のうち、10カ月以上かかった人は21.6%で※1、まだ探している人は調査に入っていません。
貯金が、辞める前に用意したい額に届かないなら、辞める前から在職中に応募を始めてください。届く場合も、10カ月を超えたときに支出をどう減らすか、収入をどう得るかを決めてから、退職日を決めてください。
1カ月休んでから探したい人の場合(例)
以下は想定の例で、示したもののほかは表の例と同じ前提です。
例:28歳・法人営業。貯金は320万円。9月30日に辞めて、1カ月ほど休みたい。
辞める前に用意したい額は表の例と同じ278万9,440円です。1カ月休むなら、生活費と保険料の1カ月分22万6,144円を足して301万5,584円で、320万円から引くと18万4,416円残ります(計算の例)。
→ この人は、予備を使い切っても決まらなければ派遣やアルバイトで収入を得ると決めてから、9月30日に辞めます。休むのは1カ月までにして、11月の初めにハローワークで手続きをします。
次の一歩は、毎月の生活費を出すこと
今週のうちに、通帳やカードの明細で直近3カ月に出ていったお金を足し、3で割って毎月の生活費を出してください。
在職中に動く時期の考え方は、転職のタイミングは今か半年後かにまとめています。
出典・注記(9件)
※1 厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人調査 第27表 ↩1 ↩2
※2 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q20 ↩
※3 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q2・Q8・Q33 ↩
※4 ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」 ↩
※5 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q2・Q12 ↩
※6 厚生労働省リーフレット「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」 ↩
※7 協会けんぽ東京支部「令和8年度保険料額表」、日本年金機構「国民年金保険料」 ↩
※8 協会けんぽ「任意継続の加入条件について」 ↩
※9 地方税法第320条 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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