転職1年未満で育休は取れる?労使協定と給付金を日付で確かめる
先に結論
転職して間もない人も、育児休業は原則として申し出られますが、勤続の短い人を除く労使協定が会社にあれば断られます。育児休業給付金は、休業を始める前の2年間に、雇用保険の記録で働いた月が12か月以上あるかで決まり、失業給付の受給資格の決定を受けていなければ、前の会社の月も数えます。
この記事の目次
転職してまだ数か月。そんなときに妊娠が分かった、あるいはこれから子どもを考えたい。うれしい一方で、「入社1年未満は育休が取れない」と聞いたことが頭をよぎります。育休が取れないなら、給付金も出ないのではないか。
「育休が取れるか」と「給付金が出るか」は、別の決まりで、数え方も違います。
この記事では、入社1年未満の育休を断れる条件と、給付金に要る期間の数え方を法令と厚生労働省の資料で確かめたうえで、入社日と出産予定日から取れる育休の長さを引く表をまとめます。
入社1年未満を理由に断れるのは、労使協定がある会社だけ
育児・介護休業法は、要件を満たした人から育児休業の申出があったとき、事業主は断れないと定めています。例外は、労働者の過半数を代表する人などと結んだ書面の労使協定で、育児休業をできない人として定めた場合です。その1つが、その事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない人です※1。
つまり、会社に協定がなければ、入社直後でも育休を申し出られます。協定があっても、除かれるのは入社1年未満の間だけです。厚生労働省の資料には、法律より広く認めることは差し支えないとも書かれています※2。
男性が子の出生後8週間以内に取る産後パパ育休(出生時育児休業)も、同じ形で1年未満の人を協定で除けます※2。
協定の有無は、育児休業規程(就業規則の一部)の「対象者」の欄と、協定の書面で確かめます。協定の書面は人事に見せてほしいと頼めます。内定の前に、転職先の労使協定で、入社1年未満の人が外されていないかを確かめましょう。
休業を始めたい日の1か月前までに申し出ると、希望の日から取れます。申出がそれより遅いと、会社は、申出の翌日から1か月を数えた日までの間で、開始日を指定できます※3。
産前産後の休みは別の決まりです。出産予定日の6週間前から休みを請求でき、産後8週間は会社が働かせてはならないと、労働基準法が定めています※4。これには協定による除外がありません。
給付金は、雇用保険の記録で12か月を数える
育児休業給付金は、会社の協定ではなく、雇用保険の決まりで決まります。厚生労働省のパンフレットでは、休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(11日以上の月が12か月に満たないときは、働いた時間が80時間以上の月も数えます)が12か月以上あることが条件です※5。
育休と給付金の数え方を並べると、次のとおりです。
| 育休を取れるか | 給付金が出るか | |
|---|---|---|
| 数えるもの | 今の会社に引き続き雇用された期間(1年) | 休業開始日前2年間に、11日以上働いた月(12か月) |
| 前の会社の分 | 通算されない | 雇用保険に入っていた月は数える |
| 例外 | 協定がなければ1年未満でも取れる | 失業給付(基本手当)の受給資格の決定を受けていれば、それ以降の月だけ |
| 決める人 | 会社の労使協定 | 雇用保険(ハローワーク) |
被保険者期間は、勤め先ではなく被保険者であった期間で数えます※6。そのため、前の会社を辞めてすぐ今の会社に入り、失業給付の受給資格の決定を受けていなければ、前の会社の月も12か月に入ります。
見落としやすいのは、産後休業を取る人の起点です。育児休業を始める日から数えて12か月に満たないときは、産前休業を始めた日を起点に数えます※7。産休に入る日までに、12か月分がそろっているかを見ます。
給付の額は、育児休業を始めてから180日目までが賃金の67%(181日目から50%)です。夫婦がともに子の出生直後に14日以上休むと、最大28日間、13%が上乗せされます※5。
入社日から出産予定日までの長さが、取れる育休の長さを決める
協定で入社1年未満が除かれる会社では、育休の申出は入社から1年たってからです。1年を数える時点は会社によって違うことがあるため、ここでは申出の時点で数える、控えめな形で考えます。入社1年の日に申し出ると、休業は1か月前の申出の決まりにより、その約1か月後から始まります。育休は、延長を除くと子が1歳に達する日(誕生日の前日)までなので、取れる長さは、入社日から出産予定日までの長さより約1か月短くなります(編集部の計算)。
母親の場合を、産後8週間の休みのあとに育休を続けたい人向けに表にします。
| 入社から出産予定日まで | 取れる育休(延長を除く) | 産後8週のあとの空き |
|---|---|---|
| 11か月 | 約10か月 | ほぼなし |
| 10か月 | 約9か月 | 約1か月 |
| 8か月 | 約7か月 | 約3か月 |
| 6か月 | 約5か月 | 約5か月 |
| 3か月 | 約2か月 | 約8か月 |
| 12か月以上 | 産後8週のあとから子の1歳まで | なし |
協定が休業を始める日で1年を数える会社なら、表より約1か月長くなります。実際の日付は、入社前に、転職先の労使協定で確かめてください。
空きの期間は、育児休業ではないので給付金は出ません。入社6か月後に付く有給休暇、会社の特別休暇、欠勤のどれで過ごすかを、人事に確かめます。有給休暇が付く時期は、転職後の有給はいつからで確かめられます。
父親は、出生の直後から入社1年の日までは、協定で育休を申し出られません。入社から出産予定日までが8か月なら、申し出られない期間は出生後の約4か月です(12か月−8か月)。1年を申出の時点で数える会社では、休業を始められるのはその約1か月後なので、空きは約5か月になります(編集部の計算)。出生直後に休みたい人は、産後パパ育休の除外の有無を先に確かめます。
当てはまらない人
- 入社して1年たっている人は、協定があっても除かれません
- 協定がない会社は、入社直後でも申し出られます
- 契約社員など期間の定めがある人は、子が1歳6か月になる日までに契約が満了し、更新されないことが明らかな場合は、育休を申し出られません※8
- 雇用保険に入っていない働き方の人は、給付金の対象外です
- 週の所定労働日数が2日以下の人は、協定で除かれることがあります
税や社会保険料の扱いと、給付金の最終的な判断は、ハローワークと会社の担当に確かめてください。
前の会社から2年さかのぼる例と、次の一歩
以下は、想定の例です。
例:31歳・営業職。2026年10月1日に入社した。出産予定日は2027年6月15日で、出産もその日とする。会社には入社1年未満を除く協定があり、1年は申出の時点で数える。前の会社は2026年9月30日まで勤め、失業給付の受給資格の決定は受けていない。
→ この人は、入社1年の2027年10月1日に申し出ます。休業は、その1か月後の11月1日から、子が1歳に達する日の2028年6月14日までで、約7か月半です。産後8週の休みが終わった翌日の8月11日から10月31日まで、約12週の空きができます。
給付金は、育児休業を始める2027年11月1日から2年さかのぼって数えます。今の会社で働いた月は、産前休業に入る前の約7か月なので、残りの5か月分を前の会社の記録から数えます。この人は、前の会社で雇用保険に入っていた月が足りるかを、ハローワークで雇用保険の被保険者期間を確かめます(前の会社の離職票が手元にあれば、それも使います)。
今週のうちに、人事に育児休業規程と労使協定の「対象者」を見せてもらい、入社1年未満が除かれているかを確かめましょう。除かれていたら、入社日と出産予定日を取れる育休の長さの表に当てて、空きを有給休暇や特別休暇でどう過ごすかを決めます。会社が説明しないとき、断り方が納得できないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます※2。
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