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内定・比較

内定2社で迷ったら

承諾前に書面と質問で条件を比べる方法

2026年版公開 2026.09.24転職指南 編集部

先に結論

内定2社は、口頭の約束ではなく書面の条件で比べましょう。書面にない条件は、承諾の前に質問して、メールで残してもらいましょう。

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この記事の目次
  1. 25〜34歳で転職して賃金が上がった人は、およそ半分
  2. 迷いの正体は、3つに分けられる
  3. 比べる前に、先に済ませておくこと
  4. 2社の条件を、書面で比べる表
  5. 書面に出にくい条件は、質問で確かめる
  6. どちらにするかは、譲れない条件で決める
  7. 承諾と辞退は、書面と答えがそろってから
  8. 3つの場面で考える(例)
  9. 次の一歩は、2社の書面を並べること

2社から内定の連絡が届いた。長かった転職活動がやっと実を結んで、ほっとしたはずなのに、2通の通知書を並べると手が止まる。

A社は、提示された年収が高い。B社は面接の雰囲気がよく、面接官から「残業は少なめですよ」と言われた。どちらを選んでも、断ったほうの会社を後で惜しく思いそうな気がする。

うれしいのに不安になるのは、あなたが優柔不断だからではありません。今の会社を辞めるかどうかを何度も考えてきた人にとって、この返事で、この先の数年をどこで働くかが決まります。迷うのは自然なことです。

ただ、2社を比べているつもりでも、比べている条件の中に「面接で聞いただけの話」が混ざっていることがあります。

この記事では、2社で迷う気持ちの正体を3つに分けたうえで、承諾の返事をする前に、2社の条件を書面と質問で比べる手順をまとめます。

25〜34歳で転職して賃金が上がった人は、およそ半分

国の調査では、2025年に転職して新しい職場に入った人の賃金が、前の職場と比べてどう変わったかをまとめています。25〜29歳と30〜34歳の結果は、次のとおりでした(出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 表6)。

前の職場と比べた賃金 25〜29歳 30〜34歳
上がった 49.8% 48.6%
変わらない 25.0% 20.8%
下がった 23.9% 29.0%

どちらの年代でも、転職して賃金が上がった人はおよそ半分です。下がった人も、25〜29歳でおよそ4人に1人、30〜34歳では10人に3人近くいます。

転職すれば賃金が上がる、とは限りません。内定で示された年収が今より高く見えても、それだけで「年収が上がる」と決めないでください。提示年収には、賞与の見込み額や固定残業代が含まれていることがあるからです。

もう1つ、転職した人に「転職活動を始めた理由」を聞いた調査があります。上位3つは、次のとおりでした(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績、複数回答)。

  • 1位 給与が低い:23.2%
  • 2位 仕事内容への不満:21.0%
  • 3位 職場の人間関係:20.0%

給与・仕事内容・人間関係の3つは、ほぼ同じくらい多く挙がっています。次の会社で確かめたいことは、年収だけではありません。

2社を比べるときも、年収だけでなく、仕事内容や人間関係まで見る必要があります。ただし、条件によって確かめ方が違います。

年収は、提示された総額ではなく、書面に書かれた内訳で比べてください。

仕事内容と職場の人間関係は、年収の数字には表れません。仕事内容は書面に大まかにしか書かれないことがあり、人間関係は書面にはまず書かれません。この2つは、会社に質問して確かめましょう。

迷いの正体は、3つに分けられる

2社のどちらにするか決めきれないとき、迷いの中には、たいてい次の3つが混ざっています。

迷いの正体 よくある感じ方 確かめれば解けるか
書面の条件の差 A社は年収が高いが、B社は休日が多い 解ける。並べれば差がはっきりする
口頭だけの条件 「残業は少なめ」と聞いたが、書面には書いていない 解ける。書面か、数字の答えをもらう
自分の優先順位 年収と働きやすさの、どちらを取るか決められない 解けない。自分で1つ選ぶ

見分けるには、「この条件は、書面のどこに書いてあるか」と自分に聞いてみてください。

書面に書いてあるなら、その条件はA社とB社で比べられます。書いていないなら、その条件はまだ「面接で聞いた話」です。

面接で聞いた「残業は少なめです」「在宅もできますよ」は、話してくれた人の感覚や、その部署の今の様子です。うそではなくても、入社したあとも同じとは限りません。

書面の条件は、会社が労働条件として示した内容です。入社したあとで話が違ったとき、根拠として見せられるのは書面のほうです。

分けてみると、迷いの中心が「口頭だけの条件」だった、という場合があります。

たとえば、B社に惹かれている理由が「残業は少なめと聞いたから」なら、残業が本当に少ないかどうかは、まだ確かめられていません。配属予定の部署で月に何時間くらい残業があるかを聞くまでは、A社とB社の残業を比べる材料はそろっていません。

自分の優先順位は、情報をいくら集めても決まりません。ただ、書面の条件の差と口頭だけの条件を先に片づけておけば、最後に自分で選ぶ項目は少なくなります。

ここからは、書面の条件と口頭だけの条件を、順番に確かめていきます。

比べる前に、先に済ませておくこと

回答期限が迫っているなら、先に延長を相談してください。条件の書面をまだ受け取っていないなら、先に交付を求めましょう。

回答期限の延長を頼むときは、理由と、返事ができる日付をそろえて伝えてください。日付があれば、採用担当者も待てるかどうかを判断しやすくなります。

内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。前向きに考えており、条件を確かめたうえで、責任をもってお返事したいと思っています。恐れ入りますが、〇月〇日までお返事をお待ちいただくことはできますでしょうか。

延長が難しいと言われたら、期限までに確かめられた条件だけで2社を比べてください。

条件の書面については、法律の決まりを知っておくと頼みやすくなります。会社は労働契約を結ぶときに、賃金・労働時間・就業場所・業務などの条件を、原則として書面で示すことになっています。本人が希望すれば、紙に出力できるメールなどで受け取ることもできます。就業場所と業務については、入社直後の内容に加えて「変更の範囲」も示すことになっています(2024年4月から)(出典:労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条)。

承諾の前に、これらの条件を書面で受け取ってください。内定通知書しか届いていないなら、採用担当者に「労働条件通知書をいただけますか」と頼みましょう。

内定通知書に年収の総額しか書かれていないときは、基本給・固定残業代・賞与・手当の内訳を、書面かメールで求めてください。

2社の条件を、書面で比べる表

まず、内定と一緒に受け取った書面を用意してください。内定通知書のほか、労働条件通知書や雇用契約書、会社によってはオファーレターと呼ばれる書面です。

次に、2社の条件を1枚の表に並べましょう。金額や時間を書き込むときは、その条件をどこで確かめたかを、印で分けておいてください。

  • ○:書面か、会社からのメールで示された
  • △:面接や電話で聞いただけ
  • ×:まだ聞いていない
比べる項目 書面で見ること A社 B社
基本給 月額。手当と固定残業代を除いた額
固定残業代 何時間分で、月いくらか。超えた分が別に支払われるか
賞与 計算の方法。提示年収に見込み額が入っているか
手当 種類と、支給される条件
勤務地 入社直後の勤務地と、変更の範囲
仕事内容 入社直後の仕事と、変更の範囲
勤務時間・休日 始業と終業の時刻、休日と休暇
試用期間 期間の長さと、その間の給与
入社日 書面に書かれた入社日

印が△か×の項目は「未確認」のまま残し、推測で埋めないでください。推測で埋めると、まだ知らない条件を、確かめた条件と同じ重さで比べてしまうからです。

表を埋めるときは、次の点に気をつけてください。

提示年収は、4つに分けてから比べてください。基本給・固定残業代・賞与・手当の4つです。

年収の総額が同じでも、A社は賞与の見込みが多く、B社は毎月の給与が多い、ということがあります。その場合、毎月の手取りも、受け取れる額の確かさも、2社で違ってきます。

賞与が提示年収に入っているなら、約束の額か、見込みの額かを確かめてください。書面に「業績により変動」と書かれていれば、賞与の分は毎年同じとは限りません。

固定残業代は、対象の時間と金額を見てください。固定残業代は、決まった時間分の残業代を、あらかじめ月給に含めて払うしくみです。書面に対象の時間と金額が書かれていなければ、固定残業代の欄は○にせず、質問に回してください。

固定残業代の対象時間は、実際の残業時間とは別のものです。残業の実態は、配属予定の部署の実績として、別に質問しましょう。

勤務地と仕事内容は、「変更の範囲」の欄まで読んでください。転勤や職種の変更がありうるかは、この欄で分かります。書面に「変更の範囲」が書かれていなければ、承諾の前に会社に聞いてください。

入社日は、それまでに今の会社の引き継ぎを終えられるかを見てください。在職中に転職した人に、内定をもらってから入社するまでの期間を聞いた調査では、「1〜2カ月」が63.8%で最も多く、平均は48.5日でした(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績)。

内定から1〜2カ月あとに入社するのは、珍しいことではありません。書面の入社日が早すぎて、今の会社の引き継ぎが間に合わないなら、承諾の前に入社日を相談してください。

表が埋まったら、書面の条件を、面接で聞いた話と見比べましょう。違うところがあれば、承諾の前に、会社に理由を聞いてください。

書面に出にくい条件は、質問で確かめる

残業の実態、在宅勤務の使われ方、評価のしくみ、配属先の上司は、書面には書かれにくい条件です。承諾の返事をする前に、会社に質問して確かめましょう。

「残業は多いですか」と聞くだけでは、採用担当者と自分とで「多い」の感覚が違うことがあります。時間や回数で答えてもらえる聞き方にすれば、答えをそのまま表に書き込めます。表にない項目は、下に行を足して書き込んでください。

  • 残業の実態:「配属予定の部署では、残業は1人あたり月に何時間くらいでしょうか」
  • 固定残業代:「固定残業代は何時間分で、月いくらでしょうか。その時間を超えた分は、別に支払われますか」
  • 賞与:「提示いただいた年収に、賞与の見込み額は含まれていますか。昨年度の支給実績も教えていただけますか」
  • 在宅勤務:「配属予定の部署では、在宅勤務は週に何日くらい使われていますか」
  • 評価と昇給:「評価は年に何回あり、どなたが評価を担当されますか。評価の結果は、給与にどう反映されますか」
  • 配属先の上司:「入社前に、配属予定の部署の上司の方とお話しする機会をいただけますか」

質問は、会社ごとに1通のメールにまとめて送りましょう。メールの書き出しには、質問する理由を1文添えてください。

内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。入社を前向きに考えており、条件を正確に理解したうえでお返事したいと思っています。つきましては、次の点を教えていただけますでしょうか。

コツは、「前向きに考えている」「正確に理解したい」と理由を添えることです。条件を疑っていると受け取られにくくなり、採用担当者も身構えずに答えられます。

電話や面談で答えをもらったときは、その日のうちに「本日伺った内容の確認です」と、聞いた内容を採用担当者へメールで送っておきましょう。口頭の答えも、メールに残しておけば、あとで見返せます。

採用担当者から「その内容で合っています」と返信があれば、表の印を○に変えてください。ただし、答えが「今はこうです」という現状の説明なら、約束ではありません。印の横に「実績」と書き添えておきましょう。

転職エージェント経由の内定なら、質問はエージェントの担当者に頼めます。自分では聞きにくい項目も、担当者を通せば聞きやすくなります。

会社の答えに応じて、次のように判断してください。

  • 書面やメールで、数字を示して答えてくれた:表の印を○に変えて、2社を比べる。
  • 答えてくれたが、曖昧だった:「部署による」「頑張り次第」で止まったら、一度だけ、最近の例を挙げてもらうよう頼む。
  • 答えてくれない、はぐらかされた:譲れない条件が未確認のままなら、その会社には承諾の返事をしない。

どちらにするかは、譲れない条件で決める

○・△・×の印がそろったら、最後に自分の優先順位を決めましょう。年収、勤務地、残業、仕事内容などのうち、これだけは譲れない条件を1つだけ選んでください。

1つに絞るのは、すべての条件を同じ重さで比べると、A社とB社の良いところが並んでしまい、迷いが続くからです。

譲れない条件が決まったら、その条件がA社とB社の書面でどうなっているかを見てください。次の表に上の行から順に当てはめ、最初に当てはまった行で決めてください。

譲れない条件の状態 次の一歩
どちらかの会社で、△か×のまま 承諾の前に、その会社へ質問を送る
片方の会社だけが、書面で満たしている その会社を第一候補にする。ほかの条件にも受け入れられない点がなく、必要な確認が済んでから承諾の返事をする
両方の会社が、書面で満たしている 次に譲れない条件を1つ選び、同じように比べる
どちらの会社も、書面で満たしていない どちらも承諾せず、今の会社に残るか、転職活動を続けるかを考え直す

内定をもらった以上、どちらかに決めなければ、と感じるかもしれません。でも、譲れない条件を書面で満たしていない会社に、無理に決める必要はありません。

年収や勤務地のほかに何を確かめたいか迷うときは、辞めたい理由を5つの軸で整理する方法で、今の会社への不満を整理してください。そこで見つかった不満を、内定先への質問に変えましょう。

承諾と辞退は、書面と答えがそろってから

どちらの会社にするか決めたら、次の順番で進めてください。

  1. 承諾する会社から条件の書面を受け取り、質問への答えもメールで残っていることを確かめる
  2. 承諾する会社に、承諾の返事をする
  3. もう一方の会社に、辞退を伝える
  4. 今の会社に、退職の意思を伝える

先に辞退したり、今の会社に退職を伝えたりすると、承諾する会社の条件が変わったときに、戻れる場所がなくなります。

辞退は、承諾の返事をした当日か翌営業日に伝えましょう。早く伝えるほど、相手の会社も次の候補者に早く連絡できます。

エージェント経由で応募した会社なら、エージェントの担当者に伝えれば、企業へ連絡してもらえます。直接応募した会社なら、電話かメールで採用担当者に伝えてください。

辞退の理由は短くて構いません。「他社への入社を決めた」で十分です。比べた中身や、相手の会社の弱いところは書かないでください。

このたびは内定のご連絡をいただき、ありがとうございました。慎重に考えた結果、今回は辞退させていただくことにいたしました。面接で伺った〇〇のお話は、今後の仕事でも参考にいたします。またご縁がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

〇〇には、面接で実際に聞いた話を1つ入れてください。話をきちんと受け止めていたことが伝わり、関係を切らずに終えられます。

3つの場面で考える(例)

同じ「内定2社で迷う」でも、答えは人によって分かれます。以下は、判断の違いを見せるための想定の例です。

例1:27歳・事務。A社は提示年収が高く、B社は面接官の印象がよかった。 書面を並べると、A社の提示年収には賞与の見込み額が入っていて、「業績により変動」と書かれていた。毎月の基本給は、B社のほうが高かった。譲れない条件は「毎月の収入が安定していること」。 → B社の基本給が高いだけでは、毎月の収入が安定しているとは言えません。この人は、A社とB社で毎月支払われる額と、自分に必要な毎月の生活費を比べてから決めます。毎月の額で生活費をまかなえるのがB社だけなら、B社を第一候補にして、ほかの条件を確かめます。

例2:30歳・営業。A社の回答期限が週明けに迫っている。B社では、面接で「在宅もできます」と聞いた。 A社の書面には、在宅勤務の制度があると書かれていた。B社の書面には勤務地しか書かれておらず、在宅勤務の記載はない。譲れない条件は「在宅勤務を週に何日か使えること」。 → A社の書面にあるのは制度で、自分の配属先で使えるかまでは分かりません。B社の在宅勤務は△のままです。この人はA社に回答期限の延長を頼み、2社の両方に、自分の配属先で在宅勤務を使える条件をメールで確認します。確認できないうちは、承諾の返事をしません。

例3:32歳・ITエンジニア。A社もB社も、今の会社より提示年収が高い。 ただ、2社とも、書面の勤務地の「変更の範囲」に全国の事業所が含まれていた。譲れない条件は「転勤がないこと」。質問しても、2社とも「転勤の可能性はある」という答えだった。 → 転勤がないという条件を、どちらの会社も書面で満たしていません。この人はどちらも承諾せず、今の会社に残るか、転職活動を続けるかを考え直します。

次の一歩は、2社の書面を並べること

今日のうちに、A社とB社の書面を並べて、2社の条件を比べる表に○・△・×の印を付けてください。

全部の項目を一度に埋める必要はありません。回答期限が迫っているなら、譲れない条件の行だけでも構いません。

2社で迷うのは、どちらの会社のことも真剣に考えているからです。焦らなくて大丈夫です。

内定を比べたい求人票の見方が分からない

この記事の図解

参考にした統計・資料

  • 厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 表6
  • マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績
  • 労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条

数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針