異業種への転職は難しい?職種を変えずに業種だけ変える進め方
先に結論
業種だけ変えた人が転職を難しかったと答えた割合は、業種も職種も変えない人と同じくらいですが、書類と面接は楽になりません。マイナビが2025年に転職した正社員に聞いた調査では、転職活動を難しかったと答えた人は、業種だけを変えた人で28.2%と、業種も職種も変えなかった人(29.9%)とほぼ同じでしたが、書類選考を難しかったと答えた人は、業種だけを変えた人で39.4%と、変えなかった人(31.1%)より多いので、なぜその業種かを今の経験とつなげて言えるようにしてから応募しましょう。
この記事の目次
今の業界に、この先もずっといたいとは思えない。別の業界で働く友人の話を聞くと気持ちが動くのに、「異業種への転職は難しい」「経験が無いと書類で落ちる」という言葉を見るたびに、応募のボタンを押す前に手が止まってしまう。
この記事では、転職した人が業種を変えたときにどこで苦労したかを「職種も変えたかどうか」で分けて確かめ、今の職種のまま移れるかを求人票で確かめる表をまとめます。
業種だけ変えた人は、応募の要件で苦労したと答えた人が少なかった
マイナビが、2025年に転職した20〜50代の正社員1,446人に聞いた調査では、転職活動を総合的に「難しかった」「どちらかといえば難しかった」と答えた人は、業種も職種も変えた人で38.0%、業種だけを変えた人で28.2%でした。業種だけを変えた人の割合は、業種も職種も変えなかった人(29.9%)とほとんど変わりません※1。
難しかったと答えた人には、その理由も聞いています(複数回答)。「自分の経験・スキルから、応募の要件を満たす求人がなかった(少なかった)」を選んだ人は、業種も職種も変えた人で30.0%、業種だけを変えた人で11.8%でした※2。
2つの数字を掛け合わせると、転職した人100人のうち、活動を難しいと感じ、その理由に応募の要件を挙げた人は、次のくらいになります(編集部の計算)。
業種だけを変えた人が、3つの中でいちばん少なくなっています。経験が足りず、応募できる求人が見つからないという壁は、業種を変えるだけでは高くならず、職種まで一緒に変えたときに高くなる、と読めます。
ただし、業種だけを変えた人の約3人は、241人のうち8人の答えをもとにした数字なので、何倍の差かまでは言えません(目安)。
この調査は、転職を終えた人に聞いたものです。活動の途中でやめた人は入っていません。20〜50代の答えで、年齢で分けた数字ではありません。また、業種だけを変えたから楽になった、とまでは言えません。業種だけを変えた人には、もともと経験を生かせる求人を選んだ人が多かった、とも考えられます。
業種だけ変えても、書類と面接は楽にならない
業種だけを変えた人が、どの段階でも楽だったわけではありません。同じ調査で、書類選考を難しかったと答えた人は、業種だけを変えた人で39.4%、面接では40.7%でした。どちらも、業種も職種も変えなかった人(書類31.1%・面接33.4%)より多く、業種も職種も変えた人(書類36.7%・面接38.3%)と比べても、同じくらいか少し多い数字です※3。
業種だけを変えて難しかった人が挙げた理由を見ると、2割を超えた理由が7つ(20.6〜23.5%)あり、どれも同じくらいで、特に多いものはありませんでした。この7つの中には「希望する業種の求人が少なかった」(22.1%)も入っています。応募の要件(11.8%)は、この7つより少ない理由です※4。
書類と面接の数字と、難しかった理由から、業種だけを変える人が応募の前に確かめておきたいのは、次の2つだと考えられます(編集部の見方)。
- 移りたい業種に、今の職種の求人があるか
- 書類と面接で、なぜその業種なのかを、今の経験とつなげて伝えられるか
応募を始める前に、移りたい業種に今の職種の求人があるかと、なぜその業種なのかを言えるかを確かめましょう。
今の職種のまま移れるかを、求人票で確かめる表
次の表の3つの行を、上から順に確かめてください。
| 確かめること | 確かめ方 | 当てはまらないとき |
|---|---|---|
| 移りたい業種に、今の職種の求人があるか | 求人サイトで、業種を移りたい業種に、職種を今の職種にして探し、求人票を5件開く | 5件そろわなければ、移りたい業種の取引先や、同じ商品・サービスを扱う近い業種まで広げて探す。広げても見つからなければ、職種も変える道を考える |
| 求人の「必須」に、今の経験で当たる行があるか | 5件の「必須」の行を書き写し、自分の経験で当たる行に印を付ける | 印の付かない求人は後に回し、印の付く求人から応募する。5件とも印が付かなければ、近い業種まで広げて求人票を開き直す |
| なぜその業種なのかを、1文で言えるか | 「今の仕事の〇〇の経験を、△△の業種で□□に生かしたい」の形で書く | 業種の名前しか書けなければ、その業種の会社の事業内容を3社分読み、今の経験を生かせる場面を探してから書き直す |
3つとも確かめられたら、業種だけを変える道で応募を始めましょう。
次の人は、この表とは別の進め方になります。
職種も変えたい人:業種と職種を両方変える道は、この調査で、応募の要件で苦労したと答えた人が多い道です。経験の無い職種の求人には、年齢の上限が付いているものもあるので、先に応募資格の欄を確かめてください。
金融業・保険業へ移りたい人:厚生労働省の調査では、今後3年間に転職者を採る予定がある事業所のうち、新卒を優先して採りたい事業所は、金融業・保険業で28.1%と、転職者を優先したい事業所(25.6%)を上回っていました(どちらとも言えない事業所は46.3%)※5。表の「移りたい業種に、今の職種の求人があるか」の行で、転職者向けの求人が5件そろうかを、特に確かめてください。
業種を変えたい理由が、上司や給料など今の会社にある人:同じ業種のほかの会社に移るだけで、不満が解消することもあります。業種を変える前に、その不満が業種から来ているのか、今の会社から来ているのかを分けてください。
今の会社に残った方がいい場合:今の会社で、移りたい業種のお客さんを担当する部署や、その業種向けの商品の担当に移れるなら、その経験を積んでから動くと、求人の「必須」に当たる経験と、なぜその業種なのかの答えを、そろえやすくなります。担当替えの希望を出せる時期を確かめ、その結果が出た翌週を、動くかどうかを決める日にしましょう。希望が通らなかったときは、その週から、移りたい業種で今の職種の求人を探すところに戻ってください。
例:食品メーカーの経理から、IT企業の経理へ移りたい28歳の場合
以下は、表の使い方を見せるための想定の例です。
28歳・食品メーカーの経理を5年。IT業界に移りたいが、ITの仕事をしたことがないので、応募をためらっている。 IT企業の経理の求人票を5件開くと、4件の「必須」は「経理の実務3年以上」「月次決算の経験」で、残りの1件は「上場企業での開示書類の作成」だった。なぜIT業界なのかは、「会計システムの入れ替えを担当し、仕組みで仕事を変えていく会社で経理をしたいと思った」と1文で書けた。 → この人は、経理のまま、印の付いた4件に応募します。開示書類の作成が必須の1件は外します。面接では、会計システムの入れ替えで担当した範囲を、なぜIT業界なのかの答えとつなげて話します。
次の一歩は、移りたい業種で今の職種の求人を5件開くこと
今週のうちに、移りたい業種で今の職種の求人票を5件開き、「必須」の行を書き写してください。印の付く行がいくつあるかで、業種だけを変える道で応募を始めるか、今の会社で経験を積んでから動くかを決められます。
業種も職種も変えたいときは、30歳の転職は遅い?年齢で不利になる場面と、確かめる3つのポイントで、経験の無い職種の求人で気をつけたい年齢の上限を確かめてください。
出典・注記(5件)
※1 マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績 1-10-5 転職活動の難易度〔総合的に〕 ↩
※2 マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績 1-12-1 転職活動が難しかった理由。業種だけを変えた人は68人の回答なので目安です ↩
※3 マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績 1-10-1・1-10-2 ↩
※4 マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績 1-12-1。68人の回答なので目安です ↩
※5 厚生労働省「転職者実態調査」令和7年 事業所調査 表7 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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