志望動機が書けないとき
求人票の仕事と経験の重なりから書く方法
先に結論
志望動機は、求人票の仕事内容から経験と重なる仕事を1つ選び、どう生かすかを先に書けば、理念への共感がなくても書けます。厚生労働省の調査では、転職者を採った職場の39.5%が採用で「既存事業の拡大・強化」を重視しており、今ある仕事との重なりを書くことは、採る側の目的に沿いやすいと編集部は見ています。
この記事の目次
応募フォームを開き、志望動機の欄で手が止まる。「貴社の理念に共感し」と書いてみたものの、その先が続かない。
本当は、給料や休みの多さを見て応募を決めた求人です。それを書いてはいけない気がして、ほかに書くことが浮かばない。
この記事では、転職者を採った職場が何を重視したか、転職した人が何で今の勤め先を選んだかを国の調査で確かめたうえで、本当の理由をうそにせずに志望動機を書く表と型をまとめます。
転職者の採用は、新しい事業より今ある事業と組織を整える目的が多い
厚生労働省が2026年9月25日に公表した「転職者実態調査」(令和7年)では、転職者がいる事業所に、転職者の採用に当たり重視したことを複数回答で聞いています。多い順に並べると、次のとおりです※1。
- 1位 人員構成の歪みを直す(年齢などの人数のかたよりを直す):48.3%
- 2位 既存事業の拡大・強化:39.5%
- 3位 組織の活性化:31.7%
一方、「新規事業分野への進出」を重視した事業所は4.3%でした。新しい事業を重視して転職者を採った職場は、20か所に1か所もありません。
上位の2つは、どちらも今ある組織と仕事を支える目的です。この調査からは、転職者を採る職場の多くが、今ある仕事を任せられる人を探していると読めます(編集部の見方)。
25〜29歳の転職者の3人に1人は、給与か働く条件で今の勤め先を選んだ
同じ調査で、転職した人に今の勤め先を選んだ一番の理由を1つだけ聞くと、25〜29歳では次のとおりでした(正社員以外で働く人も含みます)※2。
- 1位 仕事の内容・職種に満足がいく:19.9%
- 2位 労働条件(賃金以外)がよい:17.2%
- 3位 賃金が高い:16.8%
「労働条件(賃金以外)がよい」と「賃金が高い」を合わせると34.0%です(一番の理由は1人1つなので、編集部で足しました)。同じ年代の3人に1人は、給与か働く条件を一番の理由に今の勤め先を選んでいます。30〜34歳でも、この2つを合わせると24.7%で、4人に1人です。給料や休みで応募先を選ぶのは、珍しいことではありません。
志望動機の書き方を説明する記事には、「待遇を志望動機にしない」「理念への共感を書く」と勧めるものがあります。給料や休みで選んだ人がこれに従うと、本当の理由を消したあとに書くことが残らず、手が止まります。
志望動機は、理念への共感からではなく、求人票にある今の仕事とあなたの経験が重なる所から書きましょう。先に見た調査で上位だったのは今ある事業や組織を支える目的なので、この重なりは採る側の目的に沿いやすいと編集部は見ています。本当の理由が給料や休みでも、うそや借りものの共感を書かずに済みます。
本当の理由ごとに、志望動機の欄に書くことを決める表
まず、応募先を選んだ本当の理由を、次の表の左の列から選んでください。いくつ当てはまってもかまいません。
| 応募先を選んだ本当の理由 | 志望動機の欄に書くこと | 面接で聞かれたら |
|---|---|---|
| 仕事内容にひかれた | 求人票のどの仕事にひかれたかと、その仕事に近い経験 | そのまま話す |
| これまでの経験が生かせる | 求人票の仕事のうち経験と重なる1つと、経験の期間・量 | そのまま話す |
| 給与が高い | 給与は書かない。求人票の仕事と経験の重なりを書く | 「ほかに選んだ理由は」と聞かれたら、給与の水準も理由の1つだと事実で答える |
| 休み・残業・在宅勤務などの条件がよい | 先頭には書かない。書くなら最後に、長く働き続けるための理由として1文 | 「長く働き続けるために、〜も重視しました」と事実で答える |
| 通勤が近い・転勤がない | 書かない | 聞かれたら事実で答える |
| 特に無い(応募の数を増やすために選んだ) | 求人票の仕事内容から、経験と重なる行を探して書く | 重なる行の話をする |
書くことが決まったら、求人票の仕事・重なる経験・入社後にしたいことの3つを埋め、次の型で1つの文章にしましょう。
貴社の求人にある「(求人票の仕事。求人票の言葉のまま)」は、私が(期間)担当してきた(重なる経験)と重なります。(経験で身につけたこと)を生かし、(入社後にしたいこと)に取り組みたいと考え、志望しました。
求人票の仕事を、求人票の言葉のまま写すのは、採る側が人を入れたい仕事がそこに書かれているからです。重なる経験には、期間・件数・相手の数のどれかを添えてください。同じ仕事の求人がほかの会社にもあるときは、求人票にあるその会社ならではのこと(扱う商品・取引先・地域など)を、入社後にしたいことに1つ入れてください。
次の場合は、この書き方をそのまま使わないでください。
- 求人が、新しい事業や部署の立ち上げの募集:新しい事業への関心と、立ち上げに近い経験を中心に書いてください。同じ調査でも、1,000人以上の事業所では、「新規事業分野への進出」を重視した所が29.8%ありました※3。
- 未経験の職種に応募する:仕事そのものが重ならなくても、扱う相手(顧客・取引先)や扱うもの(数字・書類・商品)が重なる経験を探してください。
- 選んだ理由が条件だけで、扱う相手や扱うものまで広げても、求人票の仕事内容に経験と重なる所が1つも無い:志望動機の言い回しを考える前に、その求人を後回しにしましょう。入社してから毎日するのは、求人票の仕事内容に書かれた仕事です。
「理念に共感し」で止まった場面で考える(例)
以下は、想定の例です。
例:27歳・住宅設備の商社でルート営業を4年。工務店など約30社を担当している。応募先は住宅設備メーカーの営業職で、求人票の仕事内容は「既存の取引先(工務店など約40社)への提案と、受注・納期の管理」で、主な商品はシステムキッチン。応募先を選んだ本当の理由は、年間休日が今の会社より15日多いこと。志望動機の欄に「貴社の理念に共感し」と書いたところで手が止まっている。
→ この人は、理念の一文を消し、求人票の「既存の取引先への提案と、受注・納期の管理」に印を付けます。休日の多さは欄に書かず、次のように書きます。
貴社の求人にある「既存の取引先への提案と、受注・納期の管理」は、私が4年間担当してきた仕事と重なります。工務店など約30社の受注から納品までを1人で管理してきた経験を生かし、貴社のシステムキッチンを取引先ごとに提案することに取り組みたいと考え、志望しました。
面接で「ほかに選んだ理由はありますか」と聞かれたら、この人は「長く働き続けるために、休日の多さも重視しました」と答えます。
次の一歩は、求人票の仕事内容に印を付けること
今日のうちに、応募したい求人票を1枚開き、仕事内容の欄のうち、あなたがこれまでにしてきた仕事に近い行に印を付けてください。印を付けた行を1つ選び、求人票の仕事・重なる経験・入社後にしたいことの3つを1行ずつ書きましょう。
志望動機とは別に、前の会社を辞める理由を面接でどう話すかで迷っているなら、転職理由の本音を面接でどう言うかで、本音をうそにせず面接の言葉にする言い換え表を確かめられます。
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