住宅手当がない会社への転職は損?月給の上がり幅から手当を引いて比べる
先に結論
住宅手当が月給の5%ほどの人は、手当なしの求人で手当を除いた月給が5%上がっても、月の額面はほぼ変わりません。厚生労働省の調査では、住宅手当などを受け取った人の平均は月1万8,700円で、残業代などを除いた月給の平均の約5.5%に当たるので(編集部の計算。受け取った人だけの平均で目安)、求人の月給は手当を含めた今の月給と比べ(手当が1〜2年のうちに切れる人は、切れたあとの月給と比べ)、両方の会社の賞与を基本給だけで決めるかも確かめましょう。
この記事の目次
今の会社では、家賃の補助として住宅手当が毎月2万円出ている。気になる求人は月給が今より高いのに、手当の欄に住宅手当が見当たらない。
月給が上がっても、住宅手当がなくなる分で、毎月受け取るお金はかえって減るのではないか。そもそも住宅手当は、どのくらいの会社が出しているものなのだろう。
この記事では、住宅手当を出す会社の割合と平均の額を国の調査で確かめたうえで、今の会社と転職先の住宅手当を並べて比べる表をまとめます。
住宅手当を出す会社は小さな会社ほど少なく、平均の額は月給の5%あまり
厚生労働省の調査で、2024年11月分の住宅手当など(家賃や持ち家の費用の補助として出す賃金)を見ると、出している会社は、会社が大きいほど多くなります。手当を何か1つでも出している会社のうち、住宅手当などを出した会社は、1,000人以上の会社で60.8%、30〜99人の会社で41.6%でした。対象は、常用労働者30人以上の民間企業です※1。
同じ調査で、住宅手当などを受け取った人の平均は、月1万8,700円(約1.87万円)でした※2。残業代などを除いた月給(所定内賃金)の平均は34万1,800円なので※3、住宅手当の平均は、月給の平均の約5.5%に当たります(編集部の計算。手当は受け取った人だけの平均なので、目安です)。
住宅手当を除いた月給で5%上がる求人でも、平均くらいの住宅手当がなくなれば、毎月受け取る額(額面)はほとんど変わりません。今の会社で住宅手当を受け取っている人は、求人の月給を、住宅手当を含めた今の月給と比べてください。大きな会社から小さな会社へ移るときは、転職先では住宅手当が出ないことも多いと考えて、求人を読みましょう。
今の会社と転職先の住宅手当を、条件と計算のしかたまで並べる
住宅手当は、法律で出すことが決められた手当ではありません。対象になる人、額、出る期間は、会社ごとの賃金規程(就業規則)で決まります。同じ「住宅手当あり」でも、中身は会社ごとに違います。
額のほかに、次の2つの計算のしかたも並べてください。毎月の受け取りが同じでも、年収が変わるからです。
- 賞与の計算に入るか:厚生労働省の調査は、住宅手当などの手当を、支給の条件に当てはまるときだけ払い、賞与などの計算の元にならない、といった性格の賃金と説明しています※4。賞与を「基本給の○か月分」で決める会社なら、住宅手当の分は賞与に入りません。転職先も賞与を基本給の月数で決める会社で、住宅手当の分まで基本給が上がるなら、その分は賞与にも入ります。
- 残業代の計算に入るか:家賃の一定割合のように、住まいの費用に応じて額が決まる住宅手当は、残業代の計算の元から外せます。全員に同じ額を出すものや、賃貸か持ち家かだけで額が決まるものは、名前が住宅手当でも外せません※5。今の住宅手当が残業代の計算から外されている場合、転職先で住宅手当の分まで基本給が上がると、残業代の1時間あたりの額も上がります(月の所定労働時間が今と同じとき)。
| 並べること | 見る場所 | 今の会社 | 転職先 |
|---|---|---|---|
| 月額 | 給与明細。転職先は労働条件通知書 | ||
| 対象になる条件(賃貸か持ち家か、世帯主か、会社からの距離など) | 賃金規程 | ||
| いつまで出るか(年齢や勤続年数の上限、引っ越しや転勤での見直し) | 賃金規程 | ||
| 額の決め方(家賃の一定割合か、一律の額か) | 賃金規程。分からなければ人事 | ||
| 賞与の計算の元(基本給だけか、手当も入るか) | 賃金規程の賞与の条文。転職先は採用担当者 | ||
| 入社してすぐ出るか(試用期間中の扱い、申請の時期) | 転職先の賃金規程。分からなければ採用担当者 |
求人票に住宅手当の欄がないときは、ないと決めつけず、採用担当者に「住宅手当や家賃補助の制度はありますか。ある場合、対象になる条件と月額を教えてください」と聞きましょう。
住宅手当を引いて比べなくてよい人と、今の会社に残る方を選ぶ場合
次の人は、表の比べ方がそのままは当てはまりません。
- 今の住宅手当が、もうすぐ切れる人:「30歳まで」「入社5年まで」のように上限があり、1〜2年のうちに切れるなら、切れたあとの今の月給と、転職先の月給を比べてください。
- 転職に合わせて引っ越す人:家賃が月に数万円変わるなら、住宅手当の差より家賃の差のほうが大きくなることがあります。住宅手当を含めた月給から家賃を引いた額で比べましょう。
- 社宅や借り上げ社宅に住んでいる人:手当ではなく住まいそのものが出る形なので、自分で払っている家賃の差で比べてください。辞めたあといつまで住めるかも、社宅の規程で確かめましょう。
反対に、住宅手当を引くと毎月の受け取りが下がり、賞与を足しても年収が上がらない求人なら、今の会社に残ることも並べて考えてください。仕事の中身や働き方など、お金のほかに移る理由がはっきりしていないなら、その求人は見送りましょう。
住宅手当が月3万円の人が、手当のない会社の内定を比べる場面(例)
以下は、想定の例です。
例:31歳・法人営業。今の会社(従業員1,500人)は、基本給25万円に住宅手当3万円が付き、月28万円。住宅手当は賃貸に住む世帯主が対象で、家賃の一定割合で決まり、35歳になると出なくなる。賞与は基本給の4か月分。内定が出た会社(従業員80人)は、月給28万円がすべて基本給で、住宅手当はない。求人票の賞与の欄には「年2回」とだけ書かれている。
表を埋めると、毎月の受け取りは、どちらも28万円で同じです。今の会社の住宅手当は35歳になると出なくなるので、4年ほどあとには、今の会社の月給から住宅手当の3万円がなくなります。
転職先の賞与も「基本給の4か月分」なら、賞与は今の100万円から112万円になり、年収は436万円から448万円に上がります(計算の例)。今の住宅手当は家賃に応じて決まる形なので、残業代の計算から外されていることがあります。外されているなら、月の所定労働時間が同じ場合、転職先では基本給が上がる分、残業代の1時間あたりの額も上がります。
→ この人は、採用担当者に、賞与を何をもとに計算するかと、昨年の実績が何か月分だったかをメールで聞きます。答えがそろってから、承諾するかを決めます。
次の一歩は、今の住宅手当の条件を書き出すこと
今週のうちに、給与明細で今の住宅手当の月額を確かめ、賃金規程から、対象になる条件といつまで出るかを書き写してください。表の「今の会社」の列が埋まれば、求人を見るたびに、住宅手当を含めた額で比べられます。
固定残業代や勤務地まで含めて、内定の条件をまとめて比べるときは、内定2社で迷ったらの表を使い、書面と質問で確かめましょう。
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