求人票の想定年収、手取りはいくら?賞与の月数で割って月給に直す
先に結論
想定年収は賞与込みのことが多いので、「12+賞与の月数」で割って月給に直し、社会保険料と税を引いて手取りを出しましょう。厚生労働省の調査では、賞与を出した事業所の賞与は夏と冬で月の給与の約2.1カ月分(パートも含む平均)で、12+2.1=14.1で割ると、想定年収500万円の月給は約35.5万円、住民税を引く前の手取りは約29.4万円です(東京都・40歳未満・扶養なしの編集部の計算)。
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気になる求人票を開くと、「想定年収480万〜600万円」と書いてある。今の年収より高い。12で割れば月40万円、手取りでも30万円は超えそうだ。
でも、その想定年収に賞与がいくら入っているのかは、求人票のどこにも書いていない。今の給与明細と並べても、毎月の手取りが本当に増えるのかが分からない。
この記事では、求人票の想定年収を賞与の月数で割って月給に直し、社会保険料と税を引いて、月の手取りまで出す手順をまとめます。
求人票の想定年収は、賞与まで含めた1年分の額面
求人票の想定年収は、一般的に、月給の12カ月分に賞与の見込みを足した額です。月給に固定残業代が含まれていれば、その分も入っています。一方、固定残業代の時間を超えた分の残業代や通勤手当は、入っていないことが多い項目です。注記に「残業代の見込みを含む」などとあれば、その時間の残業をした場合の額なので、注記まで読んでください。
また、想定年収は額面です。ここから社会保険料と所得税・住民税が引かれて、手元に残る額になります。
想定年収を12で割ると、月給を多く見積もる
厚生労働省の調査では、賞与を出した事業所(従業員5人以上)の賞与は、毎月決まって払う給与(残業代を含む)に対して、2025年の夏が1.02カ月分、年末が1.08カ月分でした※1。合わせると約2.1カ月分です。従業員30人以上の事業所に限ると、夏が1.17カ月分、冬が1.22カ月分で、合わせて約2.4カ月分になります。
同じ調査で、賞与を出した事業所は、夏が73.4%、冬が76.5%でした。4つに1つほどの事業所は、その季節の賞与を出していません。賞与の欄が「業績による」だけの求人では、賞与が出ない年もあると考え、下の記入表で出す月給の12カ月分を、賞与が出ない年の年収として見ておきましょう。
想定年収を12で割ると、賞与の分まで毎月もらえる計算になります。想定年収500万円なら、12で割ると月約41.7万円ですが、12+2.1=14.1で割ると月約35.5万円です(編集部の計算)。
想定年収500万円なら、12で割ると月給を6万円ほど多く見積もります。賞与の月数で割ってから、手取りを出しましょう。
求人票に月給も書いてあれば、反対に、何カ月分の賞与を見込んだ想定年収かが分かります。「(想定年収-月給×12)÷月給」です。想定年収500万円・月給30万円の求人なら、(500万円-360万円)÷30万円で、約4.7カ月分です。想定年収と月給に幅があれば、どちらも下限の額で計算してください。想定年収に残業代の見込みが入っている求人では、この式で出る月数は多めになります。統計の約2.1カ月分を大きく超えるときは、応募の前に、前年度の賞与の実績を確かめましょう。
想定年収を月の手取りに直す記入表
次の表を、上から順に埋めてください。
| 順 | 書くこと | 出し方 |
|---|---|---|
| ① | 想定年収 | 幅があれば、下限を書く |
| ② | 賞与の月数 | 求人票の記載か、聞いた前年度の実績。分からなければ2.1カ月(働く事業所が従業員30人以上なら2.4カ月)で仮に置く。「賞与なし」なら0 |
| ③ | 月給 | ①÷(12+②) |
| ④ | 社会保険料 | ③×約15%(40〜64歳は約15.5%) |
| ⑤ | 所得税 | ③-④の額を、国税庁の源泉徴収税額表(月額表)の行で引く。扶養する家族がいなければ「甲」の「0人」の列 |
| ⑥ | 住民税 | 今の給与明細の住民税の額 |
| ⑦ | 月の手取り | ③-④-⑤-⑥ |
想定年収(①)を下限にするのは、幅のある想定年収は経験や前の年収で決まるので、提示が下限になったときに、手取りが今より増えるかを先に確かめるためです。
社会保険料(④)の約15%は、東京都の協会けんぽに入る40歳未満の人の場合です。健康保険料率9.85%、子ども・子育て支援金率0.23%、厚生年金保険料率18.3%を会社と半分ずつ負担し、雇用保険料の本人の負担分0.5%を足すと、月給の約14.7%になります※2。健康保険料率は都道府県や健康保険組合で違い、保険料は月給を区切った標準報酬月額に掛かるので、数千円ほどずれることがあります。
住民税(⑥)は、前の年の所得で決まります。転職してしばらくは、今の会社での所得をもとにした額が続くので、今の明細の額を入れてください。
編集部の計算では、東京都・40歳未満・扶養する家族なしで、月給30万〜40万円なら、住民税を引く前の手取りは月給の約83%でした。想定年収500万円を14.1で割った月給約35.5万円なら、住民税を引く前の手取りは約29.4万円です。そこから住民税を引いた額が、月の手取りです。
この表をそのまま使えない場合
- 年俸制:年俸を何回に分けて払うかを聞き、毎月払う額を月給(③)に入れてください。
- 成果に応じた報酬が大きい営業職:想定年収に、その報酬の見込みが入っていることがあります。月給(③)は固定で払う額だけで出し、成果の報酬は上乗せとして考えましょう。
- 賞与が「基本給の○カ月分」と書いてある:基本給は、手当や固定残業代を含む月給より小さいので、その月数を賞与の月数(②)にそのまま入れると、月給を少なく出します。基本給の額も分かれば、(想定年収-基本給×月数)÷12を月給(③)にしてください。
- 賞与の月数が分からず、2.1カ月で仮に置いた:2.1カ月分(30人以上は2.4カ月分)は、パートタイムで働く人や、賞与を受け取らなかった人も含めた、事業所ごとの平均です。正社員の求人では実際の賞与がこれより多いことがあり、そのときは2.1カ月で割ると、月給と手取りを多く見積もります(編集部の見方)。前年度の賞与の実績を聞いて、賞与の月数(②)を置き直してください。
- 転職1年目の賞与:会社によっては、決まった期間に在籍した日数や評価で賞与を決めるので、入社してすぐの賞与は少ないか、出ないことがあります。月の手取りは表のとおりでも、1年目の年収は想定年収を下回ることがあります。賃金規程で確かめてください。
月給が書いてある求人なら、月給(③)にはその額を入れてください。内定が出たあとは、労働条件の書面で、月給の内訳(基本給・固定残業代・手当)まで確かめてください。
想定年収に幅がある求人票で考える(例)
以下は、想定の例です。
例:29歳・経理。今の給与明細の手取りは、通勤手当と残業代を除いて月25万円で、住民税は月1.5万円。応募を考えている求人票には「想定年収480万〜600万円」「賞与 年2回」とあり、月給と賞与の月数は書いていない。
→ この人は、下限の480万円を14.1で割り、月給を約34万円と置きます。社会保険料は約5万円、所得税は月額表で7,610円、住民税は今の1.5万円なので、月の手取りは約26.8万円です。12で割って見込んでいた月の手取り(約31.5万円)より、約4.7万円少なくなります。ただ、前年度の賞与の実績が4カ月分なら、月給は30万円、月の手取りは約23.5万円で、毎月の手取りは今の25万円を下回ります(その分、賞与は額面で年約120万円と多くなります)。そこでこの人は、賞与の前年度の実績と、月給に固定残業代が含まれるかを、応募先の採用の窓口か、その求人を扱う転職エージェントに聞きます。そのうえで、毎月の手取りと、賞与を含めた1年の手取りの両方を今と比べて、応募するかを決めます。
次の一歩は、求人票を1枚選んで記入表を埋めること
今週のうちに、応募を考えている求人票を1枚選び、記入表の①〜⑦を埋めて、今の給与明細の手取りと並べてください。今の手取りに通勤手当や残業代が入っているなら、その分を引いた額と比べましょう。賞与の月数(②)が分からなければ、「前年度の賞与は、月給の何カ月分の支給でしたか」と聞く1行をメモしておきましょう。
賞与の実績や月給の内訳を応募の前に確かめたいときは、転職エージェントの面談で聞くことの質問リストに足して、面談で聞きましょう。
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