職務経歴書に書くことがない人へ
毎日の仕事から実績を書き出す記入表
先に結論
職務経歴書に書く経験は、大きな成果でなくてかまいません。毎日の仕事を「何を・どれだけ・どう工夫したか・結果どうなったか」の4つに分けて書き出し、応募する職種で見られやすい中身から順に書きましょう。
この記事の目次
職務経歴書のひな形を開き、会社名と在籍期間までは書けた。けれど、「職務内容」と「実績」の欄で手が止まる。表彰されたことはないし、自分の名前で言える売上の数字もない。毎日しているのは、決まった仕事を決まったとおりに回すことだけだ。
「書くことがない」と感じるのは、あなたの仕事に中身がないからではありません。毎日の仕事は、慣れるほど当たり前に見えて、書類の言葉に置き換えにくくなるからです。
この記事では、転職者を採用した職場がどんな理由で採ったかを国の調査で確かめたうえで、毎日の仕事を書類に書ける形に分けて書き出す記入表をまとめます。
職場が転職者を採った理由は、職種によって違う
厚生労働省が2026年9月25日に公表した「転職者実態調査」(令和7年)では、2024年10月から2025年9月までにフルタイムの転職者を採用した職場(事業所)に、職種ごとに、転職者を採用した理由を3つまで聞いています。応募する人の経験や力にかかわる3つの理由を、3つの職種で並べると、次のとおりです※1。
| 職種 | 経験を生かし、即戦力になる | 専門知識・能力がある | 職場への適応力がある |
|---|---|---|---|
| 専門的・技術的な仕事(システムエンジニアなど) | 64.1% | 51.2% | 27.6% |
| 事務的な仕事 | 41.5% | 22.6% | 36.5% |
| 販売の仕事(店頭の販売や、営業のような取引の交渉・受注など) | 52.9% | 20.7% | 35.3% |
「経験を生かし、即戦力になる」は、3つの職種のすべてで4割を超えています。
職種で違いが出るのは、専門知識と職場への適応力です。専門的・技術的な仕事では、専門知識・能力を挙げた職場が5割を超えます。事務と販売では、専門知識・能力は2割ほどで、職場への適応力のほうが多くなっています。サービスの仕事や生産工程の仕事なども、事務・販売と同じく、専門知識より職場への適応力のほうが多く挙がっていました。
事務や販売の職種に応募するなら、特別な知識や大きな成果を探すより先に、入ってすぐ任せられる仕事の範囲と、周りと合わせて仕事を進めた経験を書き出しましょう。任せられる仕事の範囲は、職場が転職者を採った理由の「即戦力」に、周りと合わせて進めた経験は「職場への適応力」に重なります(編集部の見方)。
採用する職場の3つに1つは、応募者の力を測る基準に悩んでいる
同じ調査で、転職者を採用した職場に採用するときの問題を聞くと(複数回答)、32.9%が「応募者の能力を評価する客観的な基準がない」を挙げました※2。基準がない職場では、書類に書かれた事実が、応募者の力を測る手がかりになります(編集部の見方)。
「丁寧に対応しました」「業務の効率化に努めました」だけでは、読む人はほかの応募者と比べられません。「営業8人分の請求書を月300件」「手順を5つから3つに」のように、数や範囲で比べられる事実を書きましょう。
毎日の仕事を、読む人が測れる形に分けて書くと、実績として説明できる行が見つかります。
毎日の仕事を4つの列に分けて書き出す記入表
書き出すときは、次の2つを守ってください。
- 事実と違うことは書かない:チームで出した成果は、チームの成果として書き、そのうち自分が担当した範囲を分けて書きます。数字は、面接で「どうやって数えましたか」と聞かれても答えられるものだけにしましょう。
- 社外に出していない情報は書かない:取引先の社名、契約の金額、公表していない売上、開発中の製品の名前などです。数や割合も、それ自体が秘密に当たることがあります。就業規則や、入社のときに出した誓約書に、秘密の保持についての決まりがないかを確かめ、書いてよいか判断できないものは書かないでください。書いてよいと確かめられたら、「食品メーカーなど30社」「前年の1.2倍」のように、社名や金額を業種・数・割合に置き換えて書きましょう。
まず、先週1週間にした仕事を、1行に1つずつ10行ほど書き出してください。月末の締めのような、たまにしかない仕事も足しましょう。件数を確かめるために、会社の資料を持ち出したり撮影したりはしないでください。そのうえで、1行ずつ次の表の4つの列を埋めましょう。
| 列 | 自分に聞くこと | 数字が出ないときの書き方 |
|---|---|---|
| 何を | 誰のために、どの仕事を担当したか | 仕事の名前に、相手(営業部、店舗、取引先など)を添える |
| どれだけ | 件数・人数・頻度・期間は、どのくらいか | 「毎日」「営業8人分」「2年間」のように、頻度・範囲・期間で書く |
| どう工夫したか | 決まったやり方から、自分が変えたこと・足したことは何か | 確認表を作った、作業の順番を変えた、のように、したことをそのまま書く |
| 結果どうなったか | 時間・ミス・件数・周りの反応が、前と後でどう変わったか | 「作った手順書を後任も使っている」「問い合わせの窓口を任された」のように、前と後の変化や、任されたことを書く |
職務経歴書に写す順番は、応募する職種で決めてください。
- 専門的・技術的な仕事:「何を」の列に、使った技術・道具・資格の名前を入れ、その行を先に書く
- 事務的な仕事:「どれだけ」の列で、すぐ任せられる仕事の範囲と量を先に示す。システムの入れ替えや引き継ぎのように、周りと合わせて進めた行も入れる
- 販売の仕事:担当した顧客の数や範囲を先に書き、成果の数字はあれば添える。成果を数字で示せないときは、対応した件数や任されたことを書く。チームで進めた行は、自分の担当範囲と分けて入れる
サービスや生産工程など、ほかの職種に応募するときは、事務と同じ順番で書いてください。資格や免許が要る仕事では、資格や免許の名前を入れた行を先に書きましょう。
工夫と結果の列が、ほとんど埋まらないとき
決まった手順どおりに進める仕事や、先輩の補佐が中心の仕事では、工夫と結果の列がほとんど空くことがあります。
それでも「何を」と「どれだけ」の列は、職務経歴の欄にそのまま書けます。補佐の仕事も、自分が担当した作業と、チーム全体の成果を分ければ、書ける経験です。
応募したい求人の「必須」の経験が、書き出したどの行にも当たらないときは、当たる行がある求人から先に応募しましょう。その求人をあきらめきれないなら、今の会社でその経験を積めるかを確かめてください。その経験を記入表に書き足すのは、担当が決まったときではなく、実際にその仕事を担当し、求人の「必須」にある経験を積んでからにしてください。
例:売上の数字がない総務の事務の場合
以下は、記入表の使い方を見せるための想定の例です。
27歳・総務の事務。仕事は入社の手続き、備品の管理、来客の対応で、売上のような数字はない。応募するのは、ほかの会社の総務の求人。 記入表に書き出すと、中途入社の人の手続きは年に15人ほどで、書類の出し忘れが続いたため、手続きのチェックリストを作っていた。今は、総務のほかの2人もそのチェックリストを使っていて、出し忘れは起きていない。 → この人は、事務の求人なので、仕事の範囲と量から書きます。職務経歴の最初の行を「中途入社の手続き(年15人ほど)、備品の管理、来客の対応」とし、実績の欄に、チェックリストを作って総務の3人が使う手順にし、書類の出し忘れがなくなったことを書きます。件数を大きく見せようとせず、頻度と範囲で書きます。
次の一歩は、先週の仕事を10行書き出すこと
今週のうちに、先週1週間にした仕事を10行書き出し、そのうち3行だけ、記入表の4つの列を埋めてください。3行が埋まれば、職務経歴書の職務内容と実績の欄の下書きになります。
職務経歴書を書いたあと、今の経験で応募できる求人がどこまであるかを知りたいときは、転職エージェントの面談で聞くことの質問リストを使って、面談で確かめましょう。
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