大手から中小企業へ転職して後悔する前に、年収・休日・研修の差を見る
先に結論
国の統計では、35〜39歳の月給は、従業員1,000人以上の企業より10〜99人の企業のほうが、平均で約8万円低くなっています(厚生労働省の調査の数字)。転職先を決める前に、求人票の月給と年間休日を、この平均と並べて確かめましょう。
この記事の目次
大手で働いていると、給料も休みも「ふつう」だと思いがちです。ところが、中小企業から声がかかったり、今の会社の仕事に行き詰まったりして、会社の大きさを変える転職を考え始めると、急に不安になります。年収はどれくらい下がるのか。休みは減るのか。入社したあと、誰が仕事を教えてくれるのか。
この記事では、大手から中小企業へ転職する前に確かめたい年収・休日・研修の差を、国の統計でまとめます。
35〜39歳で比べると、大企業と小企業の月給には約8万円の差がある
厚生労働省の統計では、常用労働者が1,000人以上の企業を大企業、100〜999人を中企業、10〜99人を小企業と分けています。残業代と賞与を除いた月給(所定内給与額)の平均は、男女計・全年齢で、大企業385.1千円、中企業326.2千円、小企業305.6千円です※1。
この平均には、年齢の違いが混ざっています。年齢をそろえて見ると、差は年齢とともに開きます。25〜29歳は大企業301.7千円、小企業258.2千円で、差は43.5千円。35〜39歳は大企業386.3千円、小企業305.3千円で、差は81.0千円。45〜49歳は大企業439.3千円、小企業330.0千円で、差は109.3千円です※2。100〜999人の中企業は、35〜39歳で322.3千円で、大企業との差は64.0千円です(同)。
35〜39歳の人が大企業の平均から小企業の平均に移ると、月給は81.0千円、1年で約97万円、3年で約290万円少ない水準になります(81.0千円×12か月=972千円、その3年分。賞与は含まない平均どうしの比べで、編集部の計算)。大手の平均的な給与の人が、小さい会社の平均的な給与に移るなら、年収は下がる前提で家計を組み直す転職です。
休日と研修にも差があるが、小さい会社が劣る項目ばかりではない
就労条件総合調査(常用労働者30人以上の企業が対象)では、1企業あたりの年間休日総数は、1,000人以上で117.7日、30〜99人で111.2日です※3。差は6.5日で、完全週休2日制の企業の割合も、77.9%と62.6%で開いています※4。
有給休暇の取得率は、69.0%と64.9%で、取得日数は12.8日と11.3日です※5。特別休暇制度がある企業は、75.0%と57.3%です※6。一方、夏季休暇がある企業は、1,000人以上で40.1%、30〜99人で41.9%と、小さい会社のほうがわずかに多くなっています※7。
研修は、転職者の受け入れ方に差が出ます。事業所の人数が1,000人以上の事業所では、転職者に教育訓練を実施した事業所が97.5%、5〜29人では79.8%です。教育訓練をした事業所のうち、入社時のガイダンス(入社直後の説明)を実施した割合は、90.5%と48.7%です。一方、仕事を通じて計画的に教える訓練(計画的OJT)は、85.0%と80.0%で、差が小さくなっています※8。
小さい会社では、入社直後の説明が少ない場合があります。教える人が決まっているかを入社前に聞けば、入社直後の説明が足りない分を、自分でどう補うか決めやすくなります。
求人票と面接で、平均と並べて確かめる項目
統計の平均は、志望先の会社の条件ではありません。志望先の求人票と面接の答えを、次の表に書き込んで比べてください。
| 確かめること | 大企業・大きい事業所の平均 | 小さい会社の平均 | 求人票・面接での見方 |
|---|---|---|---|
| 月給(35〜39歳) | 386.3千円 | 305.3千円 | 基本給と固定の手当の月額。残業代と賞与は除いて比べる。求人票の月給は、固定残業代を含むか確かめる |
| 年間休日 | 117.7日 | 111.2日 | 求人票の年間休日。111日より多いか少ないか |
| 特別休暇制度 | 75.0% | 57.3% | 病気休暇・夏季休暇などがあるか。入社1年目から使えるか |
| 入社時のガイダンス(教育訓練をした事業所のうち) | 90.5% | 48.7% | 初日の説明の有無と、最初の3か月に教える人が誰か |
求人票の月給が平均より高ければ、その会社は月給の面では小さい会社の平均より条件がよい会社です。低ければ、その分を仕事内容や裁量、通勤時間のどれで埋めるかを、応募する前に決めておきましょう。
この平均が当てはまらない人と、今の会社に残ったほうが合う人
平均が当てはまりにくいのは、次の人です。
- 今の月給が大企業の平均より低い人。差は、35〜39歳の平均で見た81.0千円より小さくなりやすいです。
- 産業が変わる人。産業別の月給の平均は、277.2千円から444.0千円まで開いています※10。会社の大きさより、産業で差が大きいこともあります。
- 前職の賃金を考えて給与を決める会社に入る人。賃金を決めるときに前職の賃金を考慮した事業所は、1,000人以上で48.1%、5〜29人で24.4%です※11。小さい会社は考慮しない割合が高いものの、前職の賃金を考える会社なら、差は平均より小さくなりうるので、面接で給与の決め方を聞いてください。
今の会社に残ったほうが合うのは、転職の理由が「給料を上げたい」「休みを増やしたい」で、月給だけで年に約97万円(35〜39歳の平均の差。25〜29歳なら約52万円。賞与は含まない)下がる余裕が家計にない人です。この場合は、異動や評価面談で解決できないかを先に試し、それでも変わらないときに転職を考えてください。
例:35歳の会社員が、月給386千円の大手から、求人票の月給305千円・年間休日110日の従業員50人の会社への転職を考えている(想定)。
→ この人は、月81千円、月給だけで年約97万円の下げが、平均どおりに起きる位置にいます。
賞与の額も会社で違うので、この人は賞与も比べます。今の会社の年間の賞与は、直近1年分の賞与の明細の総支給額(税や保険料を引く前の額)を足して出します。志望先の年間の賞与は、求人票の実績が何の月額の何か月分かを確かめ、書かれていなければ面接で聞きます。今の会社のほうが多ければ、その差も年約97万円の下げに足し、志望先のほうが多ければ、年約97万円の下げから引きます。入社1年目の賞与がどう決まるかも面接で聞き、1年目の賞与が求人票の実績の年間の額より少ないなら、その差も、1年目に貯蓄で埋める額に入れます。
この人は、賞与を足し引きしたあとの下げの額で、毎月の固定費から削れる額と、貯蓄で何年分の差を埋められるかを書き出し、そのうえで、面接では入社初日の説明と、最初の3か月に教える人を聞きます。
次の一歩は、志望先の求人票を開き、平均と並べて確かめる表の、月給と年間休日の行に、求人票の数字を書き込むことです。求人票に書かれていない項目は、面接で聞く質問のメモにしてください。
年収が下がる転職の手取りの変わり方は、年収が下がる転職、許容範囲は?1年目の手取りと住民税から決めるで確かめられます。
出典・注記(11件)
※1 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第4表 ↩
※2 同第4表。差は編集部の計算 ↩
※3 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」第4表 ↩
※4 同第2表 ↩
※5 同第5表 ↩
※6 同第7表 ↩
※7 同第7表 ↩
※8 厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」表6。事業所の人数別 ↩
※9 厚生労働省の上の各表。月給は賃金構造基本統計調査の企業規模別、休日は就労条件総合調査の企業規模別、ガイダンスは転職者実態調査の事業所の人数別。「小さい会社」の範囲は項目ごとに違い、月給は従業員10〜99人の企業、年間休日と特別休暇は30〜99人の企業、ガイダンスは5〜29人の事業所です。大きい側は、どれも1,000人以上です ↩
※10 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第5-1表 ↩
※11 厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」表5 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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