冬のボーナス、平均より少ない?自分の額を月給の何カ月分かで比べる
先に結論
冬のボーナスは、額ではなく、残業代や手当を含む毎月の総支給額の何カ月分かに直して、勤め先の業種の平均と比べましょう。額で平均に届かなくても、月数では業種の平均に届いていることがあります。
この記事の目次
冬のボーナスの時期が近づくと、「平均は〇〇万円」というニュースや投稿をよく見かけます。去年の自分の額を思い出すと、それより少ない。
自分の会社の賞与が低いのか、それとも比べる相手が合っていないのか。そこが分からないままだと、残るか辞めるかを考える材料にもなりません。
冬のボーナスの平均には、大手企業だけを集めた数字や、民間の調査の数字もあり、どれを見たかで額が大きく違います。この記事では、5人以上の事業所を広く集めた国の統計を使い、その平均が誰の何の平均かを確かめたうえで、自分の額を月給の何カ月分かに直し、業種ごとの平均と比べる手順をまとめます。
国の統計の平均は、賞与を出した事業所の、パートも含めた額
厚生労働省の毎月勤労統計調査では、2025年の年末賞与(2025年11月〜2026年1月に払われた賞与)の平均は、1人あたり424,889円でした。税や社会保険料を引く前の額です※1。
この平均は、常用労働者が5人以上の事業所のうち、賞与を出した事業所で働く人の平均です。正社員だけでなく、パートタイムで働く人も入っています。同じ事業所の中で賞与を受け取らなかった人も含む一方、賞与を出さなかった事業所の人は入っていません。
同じ統計は、賞与が毎月決まって払われる給与(基本給に、残業代や家族手当などを加えた額)の何カ月分かも出しています。事業所ごとに出したこの割合の平均は、2025年の年末賞与で1.08カ月分でした※1。
額で比べると、もとの月給の差がそのまま出ます。同じ1カ月分の賞与でも、月給24万円の人なら24万円、月給40万円の人なら40万円です。月給の低い人ほど、額では平均に届きにくくなります。
平均と比べるときは、額ではなく、月給の何カ月分かでそろえましょう。
自分の冬のボーナスを、月給の何カ月分かに直す
去年の冬の賞与明細と、その前の3カ月の給与明細を用意して、次の表を上から埋めてください。
| 欄 | 書くもの・出し方 |
|---|---|
| ① 冬の賞与 | 賞与明細の総支給額(税や社会保険料を引く前の額) |
| ② 毎月の給与 | 賞与の前の3カ月の給与明細の総支給額を平均した額(残業代や手当を含む。数カ月分をまとめて払われた通勤手当などは除く) |
| ③ 自分の月数 | ①÷② |
| ④ 比べる相手 | 下の表の、勤め先の業種の月数。働いている事業所(拠点)が30人以上なら、1.22カ月分も参考に並べる |
| ⑤ 差を額に戻す | ③が④より小さいときだけ、(④−③)×② |
毎月の給与(②)は、基本給ではなく、残業代や手当を含めた総支給額にしてください。統計の月数が、その額で割った数だからです。会社が「賞与は基本給の2カ月分」と言うときの月数は、割る数が小さいぶん、統計の月数より大きく出ます。
比べる相手(④)に使う月数は、次のとおりです。業種の数字は、常用労働者が5人以上の事業所の平均です。事業所ごとに出した月数の平均で、パートや、賞与を受け取らなかった人も入っているため、正社員の目安としては低めに出ると編集部は見ています。
| 比べる相手 | 月給の何カ月分か | 賞与を出した事業所の割合 |
|---|---|---|
| 全体 | 1.08カ月分 | 76.5% |
| 30人以上の事業所 | 1.22カ月分 | 92.8% |
| 建設業 | 1.15カ月分 | 80.3% |
| 製造業 | 1.10カ月分 | 82.7% |
| 情報通信業 | 1.35カ月分 | 80.4% |
| 運輸業・郵便業 | 0.99カ月分 | 79.7% |
| 卸売業・小売業 | 1.01カ月分 | 74.7% |
| 金融業・保険業 | 1.56カ月分 | 93.2% |
| 不動産業・物品賃貸業 | 1.61カ月分 | 85.9% |
| 学術研究・専門・技術サービス業 | 1.30カ月分 | 85.8% |
| 飲食サービス業等(宿泊業を含む) | 0.46カ月分 | 51.3% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 0.72カ月分 | 56.5% |
| 教育・学習支援業 | 1.59カ月分 | 83.6% |
| 医療・福祉 | 0.97カ月分 | 83.0% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 1.14カ月分 | 79.6% |
表に無い業種は、電気・ガス業(熱供給・水道業を含む)が1.86カ月分、複合サービス事業(郵便局・協同組合など)が1.80カ月分、鉱業・採石業等が1.06カ月分です。
飲食サービス業等では、賞与を出した事業所は51.3%で、出した事業所でも平均0.46カ月分です。金融業・保険業では93.2%の事業所が出し、平均1.56カ月分です。同じ1カ月分の賞与でも、飲食サービス業等なら業種の平均の2倍を超え、金融業・保険業なら業種の平均に届きません。飲食サービス業等のようにパートの多い業種ほど、統計の月数は低く出やすいので、2倍を超えても十分とは限りません(編集部の見方)。全体の1.08カ月分だけで判断せず、勤め先の業種の月数と並べてください。
判定と⑤の計算は、業種の月数で行ってください。30人以上の事業所の1.22カ月分は、参考に並べる数字です。
自分の月数(③)が業種の月数(④)以上なら、少なくとも、この統計の平均は下回っていません。ただし、統計の月数は低めに出るので、上回った幅が小さいときは、賞与が十分とまでは言えません(編集部の見方)。自分の月数が業種の月数より小さいなら、差を額に戻した⑤の額が、業種の平均と比べた冬の差です。その差が、自分の評価によるものか、会社全体の業績によるものかを、評価の面談や会社からの説明で確かめましょう。
月数で比べても、答えが出ない人
次の人は、自分の月数(③)と業種の月数(④)を並べただけでは判断できません。
- 転職して1年目の人:冬の賞与の査定期間の途中で入社していると、在籍した月数に合わせて減らす決まりの会社があります。就業規則や賃金規程で査定期間を確かめ、査定期間をまるごと在籍したあとの冬の額で比べてください
- 年俸を分けて払われている人:年俸を決まった回数に分け、その一部を賞与として払う会社では、月数は分け方で決まります。賞与だけでなく、年俸の総額で比べましょう
- 業績で賞与が大きく動く会社の人:1年だけでは判断しにくいので、おととしの冬の明細とも並べてください
- 夏の賞与が多い会社の人:冬だけで比べると少なく出ることがあります。冬の表とは比べられないので、夏と冬を足した額を毎月の給与(②)で割り、去年の自分と比べましょう
反対に、月数が業種の平均を下回っていても、残った方がいい場合もあります。月給そのものが同じ業種の相場より高い会社では、賞与が少なくても、年収では上回ることがあります。昇格した直後で、次の査定から賞与の基準が上がる人も、1回の冬だけで決めないでください。
想定の例で考える
以下は、想定の例です。
例:27歳・卸売業の会社で営業事務。働いている事業所は50人。毎月の総支給額は、残業代と手当を含めて24万円。去年の冬の賞与は、総支給額で30万円。ニュースで見た平均の42万円台より12万円も少ないと感じている。
自分の月数は、30万円÷24万円で1.25カ月分です。業種の月数は、卸売業・小売業の1.01カ月分で、参考に30人以上の事業所の1.22カ月分も並べます。
→ この人は、額では平均より12万円ほど少なくても、月数では業種の平均を上回り、参考の30人以上の事業所の平均にも届いています。少なくとも、この統計の平均は下回っていません。統計の月数は低めに出るので、賞与が十分とまでは言えませんが、額が少なく見えた大きな元は、もとの月給の大きさです。この人は、賞与を理由に辞めるかを考える前に、月給が同じ世代の平均と比べてどうかを確かめます。
次の一歩は、去年の冬の明細で月数を出すこと
今週のうちに、去年の冬の賞与明細と、その前の3カ月の給与明細を出して、記入表の自分の月数(③)を計算してください。
月数では業種の平均に届いているのに額が少ないなら、確かめる先は月給です。20代後半の給料を平均と比べる手順で、残業代を除いた月給を、統計と同じ物差しにそろえて比べられます。
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