異動の希望の伝え方
本当の理由が「上司と合わない」ときの文例
先に結論
異動の希望は、希望する仕事と、今の部署で困っている事実を分けて伝えましょう。その前に、自己申告や社内公募などの制度と、希望を出せる時期を確かめてください。
この記事の目次
異動したい本当の理由は、上司と合わないこと。でも、それを正直に書いたら「わがまま」と思われて、希望は通らない気がする。かといって、思ってもいない理由を書くのも気が引ける。
この記事では、異動の希望を出す制度と時期の確かめ方と、「やりたい仕事」と「今の部署で困っている事実」を分けて伝える方法をまとめます。
ただし、上司の言動が指導の範囲を超えていると感じるなら、異動の相談より先に、社内の相談窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談してください。
人間関係は、転職を考える理由の上位に入る
マイナビが2025年に転職した人に「転職活動を始めた理由」を聞いた調査では、上位3つは給与・仕事内容・職場の人間関係でした。職場の人間関係を挙げた人は20.0%で、転職した人のおよそ5人に1人です(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績、複数回答、n=1,446)。
人間関係は、転職を考えるきっかけになりやすい理由です。ただし、この数字は上司との関係だけを数えたものではありません。
人間関係の不満には、給与や会社の将来性への不満と違うところがあります。会社を変えなくても、部署が変われば、一緒に働く上司や同僚が変わることです。社内で解決できる道が残っているなら、辞める前に異動を試してみましょう。
ただ、異動は、受け入れる部署があって初めて決まります。人事や受け入れ先が配置を考えるときの手がかりになるのは、「今の部署を離れたい理由」より「新しい部署で何をしたいか」です。
だから、異動を希望する理由には、新しい部署でやりたい仕事を書きましょう。今の部署で困っていることは、それとは分けて、「どんな場面で、何が起きたか」が分かる出来事として伝えましょう。
先に確かめたい、希望を出す制度と時期
異動の希望を出す方法は、会社によって違います。希望を伝える前に、次の3つを確かめてください。就業規則や社内ポータルに載っていなければ、まず人事に「異動の希望は、どの制度で出せますか」と聞いてみましょう。
- 自己申告制度:決まった時期に、今の仕事や希望する仕事を書いて出す制度です。締め切りと、申告書が直属の上司を通るのか、人事に直接届くのかを確かめてください。
- 社内公募制度:人を募集している部署に、自分から応募する制度です。応募する前に直属の上司の了承がいるかどうかは、会社によって違います。手順を先に確かめておきましょう。
- 人事面談やキャリア面談:人事と直接話せる場です。次にいつあるか、自分から申し込めるかを確かめてください。
時期も見ておきましょう。過去の人事発表がいつだったかを確かめて次の発表の時期の見当をつけ、その前にある自己申告の締め切りや、面談の申し込み期限を見落とさないようにしてください。人事が次の配置を考え始めてからでは、希望が間に合わないことがあるからです。
「やりたい仕事」と「困っている事実」を分けて伝える
分けて伝えるのは、うそをつくことではありません。上司と合わないと感じる場面を具体的にすると、その裏にある「本当はこう働きたい」が見えてきます。それを、異動を希望する理由にしましょう。
| 本音(今の不満) | 伝える理由(やりたい仕事・伸ばしたい経験) |
|---|---|
| 細かく指示されて、任せてもらえない | 企画の段階から担当し、進め方を自分で考える経験を積みたい |
| 意見を出しても、聞いてもらえない | 改善の提案を形にできる仕事で、力を試したい |
| 何を頑張れば評価されるのか分からない | 成果が数字で見える仕事で、結果を出したい |
口頭で(人事面談や上司との面談で)
今の部署で〇年、〇〇の業務を担当してきました。この経験を生かして、次は◇◇部で△△の仕事に挑戦したいと考えています。〇〇の業務で身につけた□□は、△△でも役に立つと思います。次の異動の機会に、◇◇部への異動を検討していただけないでしょうか。
自己申告書で
希望する部署:◇◇部
希望する理由:現在の部署で〇〇の業務を〇年担当し、□□を身につけました。今後は△△の仕事で、企画の段階から担当する経験を積みたいと考えています。□□は、△△の業務でも生かせると考えます。
今の部署で困っていることは、希望の理由とは分けて、出来事だけを短く伝えましょう。申告書が直属の上司を通る場合は、困っている出来事は申告書に書かず、人事面談で口頭で伝えてください。「どの資料も、上司の確認が終わるまで他部署に送れない」のように、上司の人柄ではなく、実際にあった仕事の場面を挙げましょう。人事面談で聞かれたときも、同じように伝えてください。
異動を希望した場面で考える(例)
以下は、伝え方の流れを見せるための想定の例です。
例:29歳・経理。上司の確認が細かく、どんな仕事も自分で決められない。
異動したい本当の理由は、上司と合わないことだった。人事に聞くと、自己申告制度があり、締め切りは2カ月後。申告書は直属の上司を通らず、人事に直接届くと分かった。
この人は申告書の希望理由に「決算業務で身につけた数字の見方を生かし、経営企画で予算づくりに関わりたい」と書いた。今の部署で困っていることは、上司への不満としては書かず、「月次の資料は、上司の確認が終わるまで他部署に共有できない」という出来事だけを添えた。
→ この人は、辞める前に、まず社内の異動を試すことにしました。申告の結果が出る次の人事発表で異動が決まらなければ、在職中に転職活動を始めると決めています。
次の一歩は、締め切りを1つ確かめること
今週中に、就業規則や社内ポータルで、異動の希望を出せる制度を確かめ、その締め切りを調べてください。締め切りが分かったら、カレンダーに入れておきましょう。
上司と合わず、異動を待つか辞めるかで迷っているなら、確かめたいことをこちらにまとめています。
参考にした統計・資料
- マイナビ「転職動向調査2026年版」2025年実績、複数回答、n=1,446
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針