30代未経験の転職、どの職種なら入れる?国の調査で入口の広さを見る
先に結論
30代未経験で入口の広さから選ぶなら、まずサービス、輸送・機械運転、建設・採掘、運搬・清掃・包装等の求人を見ましょう。厚生労働省の雇用動向調査では、2025年に転職した30代(パート以外)のうち、前の仕事と別の職業に就いた人は29.9%で(この割合は、未経験で入った人の割合とは言い切れません)、この4つの職業は、別の職業から入る人の割合も、空いたままの求人の割合も高くなっています(建設・採掘と輸送・機械運転は、入った人数が少なく目安)。
この記事の目次
30代になって、今とは別の仕事に移りたいと思い始めた。けれど求人を開くと「経験者歓迎」「即戦力」の文字が並び、未経験の自分を受け入れてくれる職種があるのか、見当がつかない。
調べても、出てくるのは「営業、IT、介護がおすすめ」といった職種の名前の一覧で、なぜその職種なのか、本当に30代が入れているのかは書かれていません。
この記事では、国の統計で、30代で前の仕事と別の職業に就いた人が多い職業を確かめ、応募の前に求人票で確かめる項目をまとめます。
30代で転職した人の約3割は、前の仕事と別の職業に就いている
厚生労働省の「雇用動向調査」には、転職して入った職業と、その直前の職業を組み合わせた表があります。2025年に転職した30〜34歳と35〜39歳の人(パートタイム以外。計660.0千人)を合わせると、前の職業と入った職業が違う人は、およそ10人に3人(29.9%)でした※1。
ここでいう「職業」は、事務、販売、サービス、生産工程といった大きな分類です。同じ分類の中での職種の変更は、同じ職業に数えられます。また、直前の仕事より前の経験は分からないので、この3割は「未経験で入った人の割合」とは言い切れません。
ただ、職業ごとに分けると、差がはっきり出ます。たとえば、事務に転職した30代で、前も事務だった人は4人に3人でした。一方、運搬・清掃・包装等に転職した30代は、10人のうち7人が前は別の職業でした。
30代で別の職業へ移る道は、どの職業にも同じ幅であるのではなく、入りやすい職業と入りにくい職業に分かれています。
別の職業から入る割合も、空いたままの求人の割合も高いのは4つの職業
入口の広さを見る手がかりは2つあります。1つ目は、その職業に入った30代のうち、前は別の職業だった人の割合です。これが高いほど、別の職業から入る人が、割合としては実際に多いことになります(人数ではなく割合の話です)。
2つ目は、欠員率です。欠員率は、6月末の時点で埋まっていない求人の数が、6月末の常用労働者数(パートタイムを含む)に対してどれだけあるかの割合で、高いほど、その職業は人が足りていません※2。この割合にはパートタイムの求人も含まれ、表の「30代の転職者」はパート以外の人なので、ぴったり同じ範囲の数字ではありません。
2つを並べると、次のとおりです。
| 職業 | 30代の転職者数(2025年) | 前は別の職業だった人(2025年) | 欠員率(2025年上半期) |
|---|---|---|---|
| 運搬・清掃・包装等 | 24.5千人 | 72.7% | 3.3% |
| 建設・採掘 | 13.0千人 | 48.5% | 5.1% |
| 販売 | 44.6千人 | 43.0% | 2.5% |
| サービス | 86.2千人 | 37.6% | 4.2% |
| 輸送・機械運転 | 20.3千人 | 32.5% | 6.7% |
| 生産工程 | 76.9千人 | 31.5% | 2.3% |
| 事務 | 183.6千人 | 25.7% | 1.5% |
| 専門的・技術的 | 182.3千人 | 17.3% | 2.6% |
(30〜34歳と35〜39歳を合わせ、編集部が割合を計算。管理的職業は欠員率が0.7%で条件に当たりません。保安職業は条件に当たりますが、30代の転職者が4.0千人と少なく年による振れが大きいので、表から外しました)※3
別の職業から入った人が3割を超え、欠員率が全体の2.6%を上回るのは、表に載せていない保安職業を除くと、運搬・清掃・包装等、建設・採掘、サービス、輸送・機械運転の4つです。2024年は、保安職業を除くと、この4つに販売も加わった5つが、別の職業から入った人が3割を超え、欠員率が全体(2024年は2.9%)を上回りました※4。2年とも条件を満たしたのは、この4つです。販売は、別の職業から入った人は2年とも3割を超えていますが、欠員率は2024年が3.3%で全体を上回り、2025年は2.5%で全体の2.6%をわずかに下回ります。年によって条件の内と外が入れ替わるので、境目の職業です。
一方、事務は欠員率が1.5%で、専門的・技術的は別の職業から入った人が17.3%です。この2つは30代の転職者の数が多い職業で、別の職業から入った人の人数は、事務が約4.7万人で最も多く、専門的・技術的も約3.2万人です。ただ、割合では低く、空きも多くありません。未経験の30代にとっては、割合で見ると入口が狭い職業です。反対に、4つの職業のうち、建設・採掘(約6千人)と輸送・機械運転(約7千人)は、別の職業から入った人の人数が少なく、年による振れもあります(いずれも編集部の計算)。
別の職業から入る人の割合で入口を選ぶ30代は、まず、運搬・清掃・包装等、建設・採掘、サービス、輸送・機械運転の職業から求人を探しましょう。事務や専門職を第一希望にする場合も、並行してこれらの職業の求人を見ておくと、選べる道が増えます。
欠員率が高いことは、入りやすいことの証拠ではありません。人が定着せず、補充が続いているために高い場合もあります(編集部の見方)。次に挙げる項目は、求人票で確かめてください。
応募の前に、求人票で確かめる6つの項目
この表は、国の統計では分からない部分を、求人票で埋めるためのものです。気になった求人票を5件ほど集め、同じ項目を同じ順に確かめると、求人どうしを比べられます。
| 確かめること | 求人票の見る場所 | 見方 |
|---|---|---|
| 応募資格の年齢の上限 | 応募資格・募集要項 | 「35歳未満」などの上限があるか。上限を付けられるのは、法令で決まった場合に限られる。その一つが、長く勤めて能力を伸ばしてもらうため、期間の定めのない契約で、職業経験を条件とせず、学校を新たに卒業する人と同じような扱いで若い人を募集する場合(労働施策総合推進法施行規則第1条の3第1項第3号イ)。上限があれば、自分の年齢で応募できるかを先に確かめる |
| 未経験で応募できるか | 応募資格・仕事内容 | 「未経験歓迎」「研修あり」なら、職業の経験がなくても応募できる。「経験者優遇」は、経験者が先に選ばれやすい |
| 免許・資格が要るか | 応募資格・待遇 | 入社前に必要か、入社後に取ればよいか。費用を会社が出すかも見る |
| 雇用の形と試用期間の給与 | 雇用形態・給与 | 統計の「パート以外」は正社員とは限らない。契約社員か正社員か、試用期間中の給与が本採用と違うかを確かめる |
| 入社後の研修と同行の期間 | 仕事内容・研修制度 | 未経験なら、1人で任されるまでの期間が分かる記載があるか |
| 勤務時間と休日 | 勤務時間・年間休日・休日 | 夜勤やシフト制の有無、年間休日の日数 |
給与は、統計の表からは分からない部分です。職業を決めるときは、気になる求人の給与を、今の給与と並べて比べてください。
当てはまらない人と、体を動かす仕事や夜勤の多い職業をすすめない場合
次のような人には、別の職業から入る割合も欠員率も高い職業を先に探す進め方は合いません。
- 今の仕事で、移りたい職業と同じ作業をすでにしている人。事務や専門職への転職を目指す人は、今の仕事の中から同じ作業を見つけて書き出したほうが、書類で伝わります
- 体を動かす仕事や、夜勤・シフト勤務が合わない人。運搬・清掃・包装等、建設・採掘、サービス、輸送・機械運転の職業には、そうした働き方が多く含まれます
- 今より下がる収入を受け入れられない人。この記事の数字では、給与の高さは分かりません
また、この記事の数字は全国の平均です。住んでいる地域によって、求人の数や欠員の多さは変わります。
事務職から体を動かす仕事に移りたい人の例と、次の一歩
以下は、想定の例です。
例:34歳・事務職(総務)。毎日デスクにいる仕事が続き、体を動かす仕事に移りたい。配送のドライバーに関心がある。
→ この人は、輸送・機械運転の職業を調べます。輸送・機械運転に転職した30代の32.5%が前は別の職業で、欠員率は6.7%と、表の中で最も高いからです。34歳なので、「35歳未満」のような応募資格の年齢の上限がある求人は、35歳になると応募できなくなります。求人票を5件集め、まず年齢の上限を見ます。次に、運転免許の種類が普通免許で足りるか、免許の取得費を会社が出すか、試用期間中の給与、1日の配送先の数と拘束時間を確かめます。5件のうち、2件ほどが条件に合えば、応募に進みます。
今週のうちに、気になった職業を1つか2つ選び、求人票を5件ずつ保存してください。求人票で確かめる項目(年齢の上限・未経験可・免許・雇用の形・研修・勤務時間)に、答えを書き込み、条件に合う求人から応募しましょう。
応募資格に年齢の上限がある求人の見分け方と、30歳を過ぎてからの転職が不利になるのかは、30歳の転職は遅いのかを確かめるで確かめられます。
出典・注記(4件)
※1 厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 年計 第19-1表(e-Stat)。30〜34歳と35〜39歳の人数を合計し、入った職業と直前の職業が同じ人を除いて、編集部が割合を計算 ↩
※2 厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」用語の解説 ↩
※3 厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 年計 第19-1表(e-Stat)。欠員率は同「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」表8。全体の欠員率は2.6% ↩
※4 厚生労働省「雇用動向調査」令和6年 年計 第19-1表(e-Stat)、同「令和6年上半期」の欠員率 ↩
数字は、出典の定義(誰の数字か・いつの数字か)のまま使っています。計算した数字には「計算の例」と書いています。編集方針
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